2000 Fiscal Year Annual Research Report
ポジトロンCTによる内因性ドパシン放出量測定法を用いた基底核機能の研究
Project/Area Number |
12670635
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
石井 賢二 (財)東京都老人総合研究所, ポジトロン医学研究部門, 助手 (10231135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 裕一 (財)東京都老人総合研究所, ポジトロン医学研究部門, 主任研究員 (60205002)
石渡 喜一 (財)東京都老人総合研究所, ポジトロン医学研究部門, 主任研究員 (50143037)
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Keywords | ポジトロンCT / ドーパミン放出 / 基底核 / 随意運動 / ラクロプライド / 書字 / 脳賦活検査 / ドーパミン受容体 |
Research Abstract |
【目的】本研究はポジトロンCT(以下PET)を用いて人の大脳基底核における内因性ドーパミン放出を計測する方法を確立し、ドーパミン系が随意運動の調節や神経心理学的課題遂行に果たす役割を調べることを目的とする。 【方法】健常正常人ボランティア6名を対象として、[C-11]標識ラクロプライド(以下ラクロプライド)約500MBqを静注後、60分間のダイナミックスキャンを行った。小脳を入力としたコンパートメントモデルによりドーパミンD2受容体結合能を推定した。同一被検者に対し、同一日に、2回の計測をくり返した。1回は習熟随意運動としての書字課題施行時に撮影し、もう1回は開眼覚醒安静時に撮影した。また、書字課題施行時の運動調節メカニズムを明らかにするため、PETと[O-15]標識水による脳賦活検査を同一被検者にたいし、日を改めて行った。 【結果】血流変化を指標とした脳賦活検査では、書字課題で対側(左大脳半球)の一次運動知覚野、補足運動野、前運動野、線条体、視床が賦活された。この課題の施行に、運動皮質一線条体ネットワークが動員されていることが示された。しかし、ラクロプライドによるドーパミンD2受容体結合能の測定では、書字課題施行時と安静時とで、有意な結合能の変化は認められなかった。 【考察】この結果から書字のような習熟随意運動の施行時に、内因性ドーパミン分泌の増加は起こらないと考えられた。電気生理学的研究によると、基底核ドーパミンニューロンには、約2Hzの持続的(tonic)発火と、刺激に対して反応性に増加するphasicな発火とがあることがわかっている。習熟随意運動の遂行にはphasicなドーパミンニューロンの発火は関与していない可能性が示唆された。パーキンソン病などで書字困難が生じるのは、tonicな発火の減少によると考えられる。今後はphasicな発火を誘発できる課題により、この仮説を検証する必要がある。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Mailand L,Ishii K et al: "Mapping the Basal ganglia -fMQI evidence for somatotopic representation of face, hand and foot"Neurology. 55. 377-383 (2000)
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[Publications] Chno T,Band,M,Nagura H Ishii K,Yamanouch H: "Apraxic agraphia due to thalamic infaction"Neurology. 54. 2336-2339 (2000)
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[Publications] Xu B,Gnafmam J,Gatlad W Ishii K et al: "Conjoint and extended neural networks for the computation of speech chodes"Cerebral Cortex. 11. 267-277 (2001)