2002 Fiscal Year Annual Research Report
HHH症候群の遺伝子解析と抗生物質によるナンセンス変異の回避作用の治療への応用
Project/Area Number |
12670638
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
辻野 精一 国立精神・神経センター, 神経研究所・疾病研究第5部, 室長 (70280790)
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Keywords | HHH症候群 / ミトコンドリア / オルニチントランスポーター / ナンセンス変異 / エキソンスキッピング / 抗生物質 / アミノグリコシド / ORNT1 |
Research Abstract |
【1】今までに報告した7名のHHH症候群患者に加え、今年度はさらに1名の新たに見いだされた日本人患者、および依頼を受け2名のパレスチナ人兄弟患者の遺伝子をインフォームドコンセントを得た後解析した。白血球より抽出したゲノムDNAよりエキソンごとのPCRを行いORNT1のコード領域を増幅し塩基配列を決定した。日本人患者1名は新規ナンセンス変異R275Xのホモ接合体であり、制限酵素TaqαIを用いたRFLPでも確認することが出来た。パレスチナ人兄弟はいずれも新規遺伝子変異446G欠失のホモ接合体であり、両親はそのヘテロ接合体で、健常のもう一人の兄弟は正常の遺伝子型であった。 【2】ナンセンス変異によるエキソンスキッピングに対するアミノグリコシド系抗生物質の抑制作用を臨床に応用すべく協力病院において倫理委員会の承諾を得るまでに至った。すなわち、他の効用(抗菌作用)ですでに認可される薬品をその許容量の範囲で患者に投与し、ナンセンス変異読み飛ばし、およびそれによるエキソンスキッピングの改善によるORNT1遺伝子より完全長の蛋白がある程度翻訳されることを期待し、血中オルニチンを指標に臨床効果を確認する試験を目指した。しかし、症例の母親が高齢であることもありインフォームドコンセントが得られず、断念せざるを得なかった。
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