2000 Fiscal Year Annual Research Report
心不全患者の単球TNF-α産生におけるCRPの関与
Project/Area Number |
12670701
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
中込 明裕 日本医科大学, 医学部, 助手 (60188919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桜井 薫 日本医科大学, 医学部, 助手 (40256938)
青木 聡 日本医科大学, 医学部, 助手 (20267123)
草間 芳樹 日本医科大学, 医学部, 講師 (40169983)
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Keywords | 心不全 / 組織因子 / 炎症性サイトカイン / C-Reactive Protein |
Research Abstract |
単球上に発現する組織因子(TF;Tissue factor)は重要な外因系因子であり、血栓形成に深く関与している。一方、C-Reactive Protein(CRP)は急性炎症、膠原病、癌患者にて上昇し、単球上のTF活性を著明に上昇させ、炎症性サイトカインであるIL-6、IL-1β、TNF-α等を誘発する。最近、CRPが急性冠症候群(ACS;Acute coronary syndrome:急性心筋梗塞、不安定狭心症、心臓突然死)患者において上昇し、予後と相関関係があること、冠動脈粥腫内に多数存在し、動脈硬化症の程度と良く相関することより、CRPと血栓形成との関係が注目されている。今回我々は、CRPのTNF-α及び心不全への関与を研究する前に、以下の研究をおこなった。対象は健常人42例(男22例、女20例、平均年齢64歳)、安定狭心症(2ヶ月以内に発作回数や程度が変化せず、冠動脈造影にて90%以上の狭窄を有する)患者38例(男25例、女13例、平均年齢66歳)。末梢血より、単核球(PBMC)を抽出し、無刺激下(Control)、10μg/ml CRP(CRP)とともにincubationし、単球TF活性値(MPCA)をOne-stage clotting assayにて測定し、PBMC10^6個あたりで表示(mU TF/10^6PBMC)。1.Control及び、CRP刺激時の狭心症群のMPCAは健常者群に比して有意に高値(Control;122±11 vs 73±4;p<0.01)、(CRP;2255±147 vs 1754±181;p<0.05)。2.狭心症群において、平均2.2年経過中にACS(急性心筋梗塞2例、不安定狭心症8例)に進展したACS(+)患者10例、進展せず安定していたACS(-)患者28例の2群に分類。3.ACS(+)、ACS(-)患者の2群間で、臨床背景、血清脂質、空腹時血糖値、薬物療法、冠動脈造影上の病変枝数、左室駆出率に差を認めなかったが、CRP刺激時のMPCAはACS(+)群で、ACS(-)群に比して有意に大(3170±279 vs 1928±125;p<0.005)。単位;Mean±SEM;mU TF/10^6PBMC。以上より安定狭心症患者において末梢単球組織因子活性は健常者に比して上昇しており、CRPが急性冠症候群発症に関与していることが示された。かかる結果をふまえて、心不全患者(特に虚血性心疾患にもとずく)におけるCRPの炎症性サイトカインTNF-αへの関与を検討する予定である。
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