2001 Fiscal Year Annual Research Report
熱性けいれんに関与する遺伝子の解明―てんかん遺伝子治療に関する基礎的臨床的研究―
Project/Area Number |
12670727
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岩崎 信明 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (70251006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有波 忠雄 筑波大学, 基礎医学系, 助教授 (10212648)
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Keywords | 熱性けいれん / 分子遺伝学 / 家系分析 / 遺伝子 / FEB4 |
Research Abstract |
【目的】昨年に判明した5番染色体q14-15領域マーカーD5S644近傍に存在する熱性けいれん関連遺伝子の遺伝子座FEB4に関して、その遺伝子を同定することを目的とした。 【対象】FEB4を同定した際に用いた、熱性けいれんを発症した兄弟例とその血縁者の47家系185名を対象とした。研究に関する充分な説明を行い同意を得た後、末梢血を10ccの採取した。 【方法と結果】1)遺伝的異質性を検討するために、無熱性けいれん患者を除いた熱性けいれん患者のみ、複合型熱性けいれん患者を除いた単純型熱性けいれんのみ、熱性けいれんを2回以上繰り返した反復型熱性けいれん患者のみの異なった表現型を呈するサブグループにわけて、全染色体上に平均10cM間隔で存在する358個の多型マーカーを用いて全ゲノム検索を行った。解析には罹患同胞対法を用いた。共有IBD比は各グループで同様の傾向を示し、遺伝的異質性は明らかではなかった。2)海外で報告されている熱性けいれん関連遺伝子の日本人の熱性けいれん発症への関わりを検討した。このためFEB1,2,3とGEFS+type1遺伝子座に存在する多型マーカー(D8S530、D19S103、D2S1353、D19S224)を用いて連鎖解析を行った。それぞれの多型マーカーのLodスコアは有意に高くなく、連鎖を示唆する所見は得られなかった。3)D5S644近傍にマッピングされている候補遺伝子としてのcalpastatin遺伝子の変異検索を行うために、PCR法によりcalpastatin遺伝子の各エクソンを増幅し、SSCP法により変異を検索した。SSCPで変異が疑われたものについてはダイレクトシーークエンス法により変異を決定した。変異が認められたものについては、連鎖解析に用いた家系サンプルを用いてTDT法により関連解析を行うとともに、RFLP法などにより患者集団と一般集団での変異頻度の比較を行い、熱性けいれんの発症への関わりの有無を検討した。Calpastatin遺伝子についてはSSCPによって2つの変異がみつかったため、RFLPを施行したが、熱性けいれんとの関わりは否定された。 【結論】現在のところ熱性けいれん関連遺伝子座FEB4の遺伝子は同定されていない。
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