Research Abstract |
先天性コレステロール代謝異常症の二疾患Smith-Lemli-Opitz症候群(SLO症候群)と点状軟骨異形成症(chondrodysplasia punctata ; Conradi-Hunermann型;CDPX2)の生化学的診断および遺伝子解析を行った. SLO症候群 臨床的にSLO症候群が疑われる患者42名について7-dehydrocholesterol測定を行い,生後4か月女児1例で生化学的にSLO症候群と診断した.本例には合成コレステロールを用いたコレステロール補充療法を開始し,現在臨床症状を観察しながら,治療効果の有無を経過観察中である.本例と過去に確定診断した2例については,現在遺伝子解析を行っている.さらに,3例(19歳男子,5歳男児,4カ月女児)について,その臨床的特徴について欧米例との比較検討を行った.3例の臨床所見として,知的障害,小頭,発育障害,哺乳障害,筋緊張低下,自傷行為,睡眠障害,顔貌異常,口蓋裂,筋性斜頚,翼状頚,示指変形,2-3趾皮膚性合趾症,内反尖足,胆汁うっ滞性肝疾患,胃食道逆流現象,肥厚性幽門狭窄症,尿道下裂,停留睾丸,副睾丸炎,半陰陽を認めた.検査所見として脳波異常,低コレステロール血症(48,107,41 mg/dl)を認めた.これらの所見のうち,3例ともに認めた所見は知的障害,小頭,哺乳障害,顔貌異常,停留睾丸,2-3趾皮膚性合趾症,低コレステロール血症だった. CDPX2 臨床的にCDPX2が疑われる患者8名の血清8-dehydrocholesterol測定を行い,3名で8-dehydrocholesterol高値を認めCDPX2と診断した.さらに,これらの患者について,責任遺伝子Emopamil-binding protein(EBP)遺伝子の解析を行い,一塩基置換によるノンセンスおよびミスセンス変異を明らかにした.
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