2001 Fiscal Year Annual Research Report
アデノウィルスを用いた血友病A遺伝子治療(イヌモデル)
Project/Area Number |
12670772
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
中 宏之 奈良県立医科大学, 小児科学教室, 助手 (40281761)
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Keywords | 血友病A / 遺伝子治療 / アデノウィルスベクター / レンチウィルスベクター |
Research Abstract |
現在までに作製した組換えウィルスは1)CMVプロモーター制御下にBドメインを欠失したイヌ第VIII因子cDNAを組み込んだ第1世代アデノウィルス(Adeno/cFVIIIdelB)、2)CMVプロモーター制御下にクラゲGF PcDNAを組み込んだ第3世代レンチウィルス(Lenti/CMV-GFP)、3)肝細胞特異的プロモーター制御下にBドメインを欠失したイヌ第VIII因子cDNAを組み込んだ第3世代レンチウィルス(Lenti/HS-cFVIIIdelB)の3種類である。これらの組換えウイルスを用いて、種々の培養細胞系でのin vivo実験と通常のマウスでのIn vivo実験でそれぞれの発現を検討した。 Adeno/cFVIIIdelBを用いたIn vitroの結果は昨年報告した。通常のマウスに10*9pfu程度のAdeno/cFVIIIdelBを尾静脈より静脈内投与し、1w、2w、4w後に眼窩静脈叢から採血し第VIII因子抗原をELISA法で測定した。測定に用いたELISAシステムはマウス固有の第III因子には反応せずイヌ第VIII因子にのみdetectしうるシステムである。1w、2w後の結果では2-3%のイヌ第VIII因子抗原を認めたが、4w後にはdetectできなかった。これは従来より報告されているAdenovirusベクターの問題を再確認したかたちになる。 3.0×10*7TUの組換えウィルスLenti/CMV-GFPを、約10*6個の4種類の培養細胞(HepG2、COS-1、293T、HeLa)に感染させ4日後に蛍光顕微鏡で観察した。効率に差はあるもののいずれの細胞にも感染し、導入したGFP蛋白の発現が確認できた。また、導入したHepG2細胞と293T細胞を3か月以上継代培養したが、いずれも同程度の蛋白の発現を持続していた。 3.0×10*7 TUの組換えウィルスLenti/HS-cFVIIIdelBを、約10*6個の4種類の培養細胞(HepG2、COS-1、293T、HeLa)に感染させ、第1,4,7日後の培養上清中の第VIII因子活性と抗原を測定した。293T細胞とHeLa細胞では共にbackgroundレベルだったが,HepG2細胞では、第7日目に第Vmm因子活性で150mU/ml、抗原で90mU/mlの発現を認めた。COS1細胞では、第VIII因子活性・抗原はそれぞれ40mU/mlと30mU/mlであった。組織特異的な発現が得られたものと考えられた。
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