2000 Fiscal Year Annual Research Report
小児の髄膜炎におけるサイトカインストームの調節機序の検討
Project/Area Number |
12670779
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
石黒 精 帝京大学, 医学部, 助教授 (90222984)
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Keywords | meningitis / cerebrospinal fluid / children / cytokine / selectin / interleukin |
Research Abstract |
小児の髄膜炎の病態にどのようなサイトカインが関連しているかについては,まだ不明の点が多い.髄腔は閉鎖された空間であり,炎症においてサイトカインが,どのような動態を示すかを調べるために適したヒトのモデルといえる.本研究はサイトカインと髄膜炎の病態についての蓄積を総合的に発展させ,小児の髄膜炎におけるサイトカインストームの実態について詳細に検討することを目的とした. 検討は蛋白レベルで行い,主としてELISA法を用いた.IL-4は全症例の髄液中に認められず,IL-13は1例で認められたが,血清より低値であった.TGF-βは髄膜炎の急性期と回復期,対照群の間に有意差は見られなかった.小児髄膜炎における髄液中免疫抑制性サイトカインの中では, IL-10は髄液中で炎症性サイトカインより遅れて産生されて炎症に抑制的に働いていると推定された.可溶性E-セレクチンやIL-16は,髄膜炎患児の多くで髄液中に認められ,対照群より高値であった.その値は症状が消失すると低下した.血清中の値は髄膜炎の髄液中に比べて低値であった.IL-12とIL-18も一部の症例では髄液中で高値であった.また,髄液および血清中のIL-6,SCFとそれらの可溶性受容体であるsoluble IL-6R,soluble gp130,soluble c-kitについて検討した.IL-6は髄膜炎の急性期に髄液中において著しく増加しており,血清中より有意に高値であった.それ以外のものは髄膜炎患児の多くで髄液中に認められたが,血清中より低値であり,血清から移行が推定された.
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[Publications] Mwamtemi HH: "An increase in circulating mast cell colony-forming cells in asthma"J Immunol. (in press). (2001)
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[Publications] Ikeno K: "Stressful delivery influences circulating thrombopoietin (TPO) levels in newboms : possible role for cortisol in TPO-mpl binding"Early Hum Dev. 58・3. 225-235 (2000)
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[Publications] 関口恭子: "ペニシリン耐性肺炎球菌による感染性心内膜炎の一例"小児感染免疫. 12・4. 369-372 (2000)
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[Publications] 石黒精: "抗炎症療法に用いるステロイド薬の使い分け"医事新報. ・4003. 145-146 (2000)
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[Publications] 石黒精: "新しいCD分類(2000)の速報"Biotherapy. 14・10. 952-957 (2000)
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[Publications] 石黒精: "サイトカインからみた髄膜炎"日臨免誌. 23・1. 1-11 (2000)
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[Publications] 石黒精: "中枢神経系に対する抗菌薬の使い方"小児内科. 32・2. 223-227 (2000)
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[Publications] 石黒精: "ステロイド薬による抗炎症療法"川崎市小児科医会会誌. (印刷中). (2001)