2001 Fiscal Year Annual Research Report
川崎病冠動脈病変における血管リモデリングのメカニズムの解明:血管細胞分子生物学的アプローチ
Project/Area Number |
12670797
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
石井 正浩 久留米大学, 医学部, 講師 (90222950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
姫野 和家子 久留米大学, 医学部, 助手 (70289437)
橋野 かの子 久留米大学, 医学部, 助手 (70237923)
室原 豊明 久留米大学, 循環器病研究所, 講師 (90299503)
菅原 洋子 久留米大学, 医学部, 助手 (40309787)
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Keywords | 川崎病 / 血管リモデリング / 血管細胞分子生物学 / 細胞接着分子 / セレクチン / 血管新生 / VEGF / 動脈瘤 |
Research Abstract |
川崎病後遠隔期の冠動脈病変において血管内皮由来の一酸化窒素(NO)産生が減弱していること、およびそれらの内皮機能障害と血管内超音波法により得られた組織像は、動脈硬化像に類似していることを証明し報告した(Iemura M, Ishii M, Kato H et al. Heart ;2000.)。川崎病急性期の血管リモデリングと細胞接着分子の関係を検討した。細胞接着分子であるP-,E-,L-セレクチンは、川崎病急性期および亜急性期には、慢性期および対照群に比して明らかに上昇しており、また、冠状動脈瘤を生じた例では生じなかった例に比して有意に上昇しており冠動脈瘤発生の予測因子となることが示唆された(Furui J Kurume Med J2000)。急性期の治療と血管リモデリングの関係を検討した。γグロブリン治療の約13%に不応例が生じる。これらの症例では高頻度に冠状動脈後遺症を生じるが、有効な再治療法は確立されていない。γグロブリン治療抵抗性の川崎病に対して再治療法としてγグロブリン追加療法およびステロイドパルス治擦の有効性を検討した。冠状動脈病変の発生頻度には両治療法aヤに有意な差を認めなかったがステロイド治療中に冠状動脈の一過性の拡張を生じた。今後、ステロイドが血管リモデリングへ及ぼす影響および投与時期などさらなる検討が必要である(Hashino K, Ishii M, et al. Pediatr Int2001)。血管新生促進因子であるVascular endothelial growth factor(VEGF)の川崎病急性期の血行動態を検討した。冠状動脈瘤が形成される症例では有意に高値を示した。この事により川崎病血管障害およびリモデリングにおいてその病態へVEGFが関与している可能性が示唆される。この結果は米国心臓病学会に発表予定した。現在、論文を投稿中である(Furui J、Ishii M, Eto G, et al. Acta Paediatr,投稿中)。血管リモデリングの結果狭窄病変へ進行した症例に対するカテーテル治療の有効性を検討し治療指針を作った(Ishii M, et al. Pediatr Int.2001)。また、心筋内微小循環と血管リモデリングの関係を心筋コントラストエコー法を用いて証明した(Ishii M, et al. Pediatr Cardiol 2002)。
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[Publications] Ishii M, Hashino K, Eto G, et al.: "Quantitative assessment of severity of ventricular septal defect by three-dimensional econstruction of color Doppler imaged vena contracta and flow convergence region"Circulation. 103. 664-669 (2001)
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[Publications] Hashino K, Ishii M, et al.: "Re-treatment for immune globulin-resistant Kawasaki disease : a comparative study of additional immune globulin and steroid pulse therapy"Pediatr Int. 43. 211-217 (2001)
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[Publications] Ishli M, Ueno T, et al.: "Gideline for catheter intervension of coronary artery lesion in Kawasaki disease"Pediatr Int. 43. 558-562 (2001)
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[Publications] Ishii M, Himeno W, Sawa M, et al.: "Assessment of the ability of myocardial contrast echocardiography with harmonic power Doppler imaging to identify perfusion abnormalities in patients with Kawasaki disease at"Pediatr Cardiol. 23. 192-199 (2002)
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[Publications] 石井正浩, 古井潤, 加藤裕久: "川崎病の長期予後と患者管理"小児看護. 24. 218-222 (2001)
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[Publications] 石井正浩, 牟田広実: "免疫グロブリン療法のすべて"小児科診療. 51. 1159-1164 (2001)
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[Publications] 石井正浩, 加藤裕久: "心臓病の最新医療"先端医療技術研究所. 617 (2001)