2001 Fiscal Year Annual Research Report
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12670806
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
三橋 善比古 山形大学, 医学部, 助教授 (30157557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 雅一 山形大学, 医学部, 助手 (10302291)
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Keywords | 神経線維腫1型 / 神経線維腫症5型 / モザイク / 肥満細胞 / tryptase / chymase / ベーカー母斑 / 扁平母斑 |
Research Abstract |
まず始めに、神経線維腫症1型(NF1)および5型(NF5)における神経線維腫内の肥満細胞profileを検索した。その目的は、NF1は全身の細胞に遺伝子変異が生じているのに対し、NF5は発生の過程で一部の体細胞に突然変異が生じたモザイクと考えられているので、NF1とNF5の神経線維腫内の肥満細胞の数と肥満細胞亜型を検索し、両型で違いがあるかどうかを知るためである。NF1の5例から採取した5つの神経線維腫、およびNF5の2例から採取した3つの神経線維腫を材料とした。対照として健常人5例の皮膚を用いた。それぞれの組織切片を、トルイジンブルー染色、および抗ヒトtryptase抗体、抗ヒトchymase抗体を用いた免疫組織学的検索を行って観察した。その結果、NF1およびNF5の神経線維腫内の肥満細胞数は、健常人乳頭層に比べ約2倍に増加しており、肥満細胞亜型ではともに粘膜型が増加し、数、亜型ともにNF1とNF5で差はみられなかった。NF1とNF5で、肥満細胞数のみならず亜型にも差がみられなかったことから、両型の神経線維腫における肥満細胞に及ぼす微少環境は同様であると考えられた。 次に、ベッカー型遅発性扁平母斑は神経線維腫症1型のモザイクかどうかについて検討した。『遅発性扁平母斑または通常型扁平母斑は、NF1のモザイク、すなわちNF5の表現型の一つではないか』との仮説のもとに、NF1のカフェ・オレ斑、遅発性扁平母斑、通常型扁平母斑について組織学的検索を行った。その結果、遅発性扁平母斑の1例の真皮上層に神経線維腫がみられ、カフェ・オレ斑の1例の真皮内に平滑筋の増生がみられた。このように、遅発性扁平母斑とカフェ・オレ斑の組織像には共通性があった。遅発性扁平母斑はNF1の遺伝的モザイク、すなわちNF5の表現型の一つである可能性がある。
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[Publications] 三橋善比古: "遺伝性皮膚疾患の診療における病診連携"日臨皮医会誌. 70. 50-54 (2001)
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[Publications] 今淳, 三橋善比古, 他: "慢性放射線皮膚炎の皮疹部に発症した汗孔角化症"皮膚臨床. 43. 1089-1091 (2001)
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[Publications] Mitsuhashi Y. et al.: "Proceedings of Japan-Korea Joint Meeting of Deronatelogy"Juntendo Press. 821 (2001)