2001 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚の紫外線発癌,光老化とテロメラーゼ活性,テロメア長との相関
Project/Area Number |
12670820
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
上田 正登 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20176598)
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Keywords | 皮膚 / テロメア / テロメラーゼ / 老化 / 紫外線 / 表皮成長因子 / 転写因子 / hTERT |
Research Abstract |
ヒト正常皮膚を用いてテロメア長の計測を行なった。14サンプルのうち11サンプルで測定が可能であった。加齢とともに表皮テロメア長が短縮する傾向が見られた。このうち8サンプルは日光非曝露部で3例は日光曝露部皮膚であった。2例の同一人で日光非曝露部と日光曝露部の表皮テロメア長を測定できたが、2例共日光曝露部の方が日光非曝露部に比し表皮テロメア長がやや長い傾向を示した。真皮のテロメア長も測定したが多くのサンプルでテロメア長が極端に短く、2例でのみ信頼できる測定結果を得た。この2例でそれらの表皮とテロメア長を比較してみると、表皮の方が真皮よりテロメア長が長いという結果であった。次ぎに紫外線発癌におけるテロメラーゼの活性化の機序を明らかにするため、不死化角化細胞HaCaTに対し中波長紫外線を照射し、テロメラーゼ活性を測定した。HaCaT細胞に中波長紫外線を10,20,30mJ/cm^2を照射し、48時間後のテロメラーゼ活性を測定したところ、照射群で活性の増強がみられ特に10mJ/cm^2にて最も強い活性化効果が得られた。ヒト有棘細胞癌由来細胞株HSC-1は高いテロメラーゼを有するが、これにEGFシグナルが関与しているかを調べるためEGFレセプター(EGF-R)阻害剤であるAG1478を用いて検討した。HSC-1を培養下AG1478で処理したところ、増殖の低下と共にテロメラーゼ活性の低下が見られた。この抑制効果は2μMの濃度では3日目より明らかに観察され、テロメラーゼ活性は5日間の処理で著しく低下した。この効果は濃度依存性を示した。テロメラーゼの活性に最も強く相関するのはその触媒酵素であるhTERTの発現であり、その発現を転写因子であるmycとsp1が静御することが知られている。HSC-1をAG1478で処理したところmycとsp1の蛋白レベルでの発現が抑制された。
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[Publications] Ahmed NU, et al.: "Aberrant expression of MSG1 transcriptional activator in human melanoma in vivo"Pigment Cell Res. 14. 140-143 (2001)
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[Publications] Tsuru k, et al.: "Low-dose ultraviolet B radiation synergi3es with TNF-a to induce apoptosis of keratinocytes"J Dermatol Sci. 26. 209-216 (2001)
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[Publications] Yoshizaki Y, et al.: "A further case of plantar squamous cell carcinoma arising in Olmsted syndrome"Br J Dermatol. 145. 685-686 (2001)
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[Publications] Ashida M, et al.: "Protean manifestations of human papilloma virus type 60 infection on the extremities"Br J Dermatol. (印刷中).
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[Publications] Kurata H, et al.: "Myeloid markers should be under taken on cases of CD 56 positivity to exclude granulocytic sarcoma"Br J Dermatol. (印刷中).
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[Publications] 鄭 柄貴, 他: "Nodular-cystic fat necrosis の 1例"皮膚. 43. 28-32 (2001)
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[Publications] 神吉晴久, 他: "Anenrysmal Benign Fibrous Histiocytoma の2例"皮膚科の臨床. 43. 867-869 (2001)
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[Publications] 山田陽三, 他: "結節性紅斑様皮疹を呈したマイコプラズマ感染症-本邦におけるマイコプラズマ感染による発疹出現例のまとめ-"臨床皮膚科. 55. 568-572 (2001)
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[Publications] 矢鳴 英子, 他: "7歳女児の内踝部に生じたsuperficial spreading melanoma in situの1例"臨床皮膚科. 55. 1044-1047 (2001)
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[Publications] 上田 正登: "悪性黒色腫"日本臨床「本邦臨床統計集」. 59. 401-408 (2001)
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[Publications] 上田 正登: "紫外線発癌の分子機構"日本皮膚科学会誌. 111. 1723-1725 (2001)
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[Publications] 上田 正登: "光発癌"日本皮膚科学会誌. 111. 2073-2087 (2001)
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[Publications] 上田 正登: "サンバーンセルとアポトーシス"太陽紫外線防御委員会学術報告書. 11. 79-85 (2001)