2001 Fiscal Year Annual Research Report
痒みの発現機構―特に知覚神経線維の表皮内侵入機序とオピオイド受容器の分布の解明
Project/Area Number |
12670838
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
高森 建二 順天堂大学, 医学部, 教授 (40053144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧本 玲子 順天堂大学, 医学部, 助手 (00266008)
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Keywords | ドライスキン / 老人性皮膚掻痒症 / かゆみ / 表皮内神経線維 / 神経線維 / NGF / neurotrophic factor / C線維 |
Research Abstract |
昨年までの研究により、ドライスキンを呈する老人性皮膚掻痒症では神経線維が表皮内に深く侵入していることを明らかにした。そこで本年度は神経線維の表皮内侵入メカニズムについて動物モデルを作成し検討した。 1.動物モデルの作成:hairless ratの背部皮膚を50%アセトン/エーテル(A/E)で30分処理すると、30分後にはtransepidermal water loss(TEWL)は13倍亢進、コンダクタンスは1/4に減少、角層内sphingolipid量は1/3に減少し、ドライスキンの動物モデルとなり得ることが示された。 2.表皮内神経線維の分布と密度:A/E処理48時間後には表皮内に抗substance P抗体、抗CGRP抗体陽性神経線維が認められ、角層直下までその侵入が認められた。コントロールの無処理皮膚では陽性所見は認められなかった。表皮内神経線維の密度はA/E処理後の時間に依存して増加した。このことは、A/E処理により皮膚をドライスキンにすると神経線維(C線維)が表皮内に侵入し始めることを示している。 3.Neurotrophic factorの分布と発現:表皮内NGFの分布を、抗NGF抗体を用いた免疫染色により検討した。無処理皮膚でも表皮全層に均一に弱い陽性所見が認められたが、A/E処理により陽性所見は増強し、特に基底層に強い陽性所見が認められた。 以上の結果より、ドライスキンは神経線維の表皮内侵入を誘導すること、神経線維の表皮内侵入にはneurotrophic factor(NGF)の関与が推定された。
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