2000 Fiscal Year Annual Research Report
ポジトロン標識化合物と新鮮脳切片を用いた虚血低酸素脳障害の糖代謝分子機構の解明
Project/Area Number |
12670861
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
村田 哲人 福井医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (80200294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤林 靖久 福井医科大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (50165411)
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Keywords | 脳スライス / ポジトロン標識化合物 / 糖代謝 / 虚血低酸素脳障害 |
Research Abstract |
ラット脳切片をpH7.3-7.4のKrebs-Ringer溶液(36℃)に浸して1時間のプレインキュベーションを行った後、切片が固定されている内チャンバーを外チャンバーから取り出し、あらかじめ36℃に温めた80mlのKrebs-Ringer溶液で150kBq/mlに希釈された[^<18>F]FDGの入った別の外チャンバー内に移し入れてインキュベーションした。二重のチャンバー(内チャンバーと外チャンバー)をイメージングプレート(BAS-MP2040S,富士フィルム社製)の上に置き、10分ごとに新しいイメージングプレートに置換した。低酸素負荷は、灌流液をバブリングするガスを95% O_2/5% CO_2ガスから95% N_2/5% CO_2ガスに換えることにより行った。低酸素無グルコース(虚血)負荷は、灌流液からグルコースを除去して、バブリングするガスを95%O_2/5%CO_2ガスから95%N_2/5%CO_2ガスに変えることにより行った。上記のごとく、ポジトロン標識化合物の有する高いエネルギーと高感度のイメージンブプレートを効果的に組み合わせた新しい代謝機能解析法(dynamic positron autoradiography technique,dPAT)によって、低酸素/虚血負荷前後の脳切片への[^<18>F]FDG取り込みを、脳切片を灌流液中に浸したまま経時的な2次元画像情報として得た。定量解析には、ポジトロン・エミッション・トモグラフィ(PET)領域で確立されているPatlak-plotを、dPAT法に適用することで、脳切片内への[^<18>F]FDG取り込み速度定数(=K値)を指標とした局所脳グルコース代謝率を経時的に算出し、低酸素/低酸素無グルコース(虚血)負荷後のK値が、負荷前と同じレベルに戻るかどうかで低酸素/再酸素化や虚血/再灌流に伴う脳組織の障害、さらにはそのバイアビリティや予後を評価した。その結果、10分間以内の低酸素負荷では、再酸素化後のK値はほぼ負荷前の値に戻ったが、20分間以上の低酸素負荷では、再酸素化後2時間経過してもK値は回復しなかった。また、40分間以内の虚血負荷では、再灌流後のK値はほぼ負荷前の値に戻ったが、50分間以上の虚血負荷では、再灌流後2時間経過してもK値は回復しなかった。
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