2001 Fiscal Year Annual Research Report
透析用内シャントの狭窄に対する血管形成術における放射線治療の有効性の検討
Project/Area Number |
12670865
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
野本 由人 三重大学, 医学部・附属病院, 助手 (10252363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 憲幸 三重大学, 医学部・附属病院, 講師 (40214390)
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Keywords | 透析用内シャント / 内膜過形成 / 放射線治療 |
Research Abstract |
透析患者の内シャントは吻合部の静脈側に再狭窄を生じるため、静脈の内膜過形成のモデル作成を試みた。実験動物として、3.5〜4Kgのウサギを用いることとしたが、なるべく血管径が大きく、かつ血管損傷を加えても処置後数ケ月間生命を維持できる静脈として、大腿静脈、総頚静脈を考えた。実際の血管造影では、大腿静脈は3〜4mm、総頚静脈は5mmで、バルーンカテーテルの径や、穿刺時のアプローチなどから、大腿静脈にシースを挿入して総頚静脈に処置を施す方が適当と考えられた。ウサギの大腿静脈を皮膚切開により露出し、5Fr Rt.Coronary catheterを挿入し、右総頚静脈に進め、これを造影したところ血管径は5mmで、5Frバルーンカテーテル(バルーン径7mm)により血管拡張術を行った。拡張後の血管径は6mmであった。以後は一ケ月毎に血管造影を行い、狭窄が明らかになった時点で病理組織学的検討に移る計画であったが、40日後に第一回目の確認造影を行ったところ、最も狭窄の強い部位で3.5mmであり、狭窄率としてコントロールに対し30%であったため、この時点で観察を終了し右総頚静脈を摘出、病理組織学的検討を行った。摘出標本は拡張部分を中心に5mm間隔で切り出しを行った。病理組織では、拡張部分に血管内皮と筋層の断裂像、およびこれの5,10mm中枢側に血管内膜の肥厚像がみられた。この結果、バルーンによる拡張でも静脈に内膜の過形成をおこすことが可能であること、また内膜肥厚は拡張部分よりやや中枢側に生じる可能性があることから、照射実験の際にはバルーン拡張部分よりも少なくとも1cm中枢側を含めて照射長を決める必要性のあることが示唆された。
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