2001 Fiscal Year Annual Research Report
ラクロプライドPETを用いたパーキンソン病患者のMAO阻害剤効果に関する研究
Project/Area Number |
12670879
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
桑原 康雄 九州大学, 医学部・附属病院, 助教授 (30150436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 和孝 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (00325458)
中川 誠 九州大学, 医学部・附属病院, 医員(臨床)
佐々木 雅之 九州大学, 医学部・附属病院, 講師 (40240907)
谷脇 考恭 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (80284496)
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Keywords | ポジトロンCT / 脳ドパミンD2受容体 / パーキンソン病 / MAO阻害剤 / C-11ラクロプライド |
Research Abstract |
C-11ラクロプライドとポジトロンCT(PET)を用い、L-dopa治療の補助薬剤であるMAO-B阻害薬(塩酸セレギニン)のD2受容体に与える影響について検討した。対象は健常者5名とパーキンソン病患者4名である。PET装置はECAT EXACT HR^+(Siemens社)を用い、C-11ラクロプライド1.0-12.0mCi(平均5.92mCi、比放射能240-1800mci/_mol)を投与後、60分間の3D-dynamic scanを撮像した。データ解析は平衡法(被殻または尾状核から小脳の放射能カウントを差し引いたものをプロットし、最も平衡に近い20分間の対小脳比((Cpt(ca)-Ccr)/Ccr)をD2受容体の指標(BP)とした)で行った。約一週間の間隔でPETによる測定を2回行い、健常者で測定毎の変動と再現性、患者でMAO-B阻害剤である塩酸セレギニンを2.5mg一週間連続投与し、投与前後の線条体の集積の変化をそれぞれ検討した。塩酸セレギニンの効果は4例中2例で有効、2例では無効であった。健常者における2回の測定のBPは初回2.49±0.45、2.25±0.45(平均±SD、尾状核対小脳比、被殻対小脳比の順、以下同)、2回目は2.28±0.32、2.05±0.30であった。変化率は平均で6.57%、6.32%の低下であった。パーキンソン病患者におけるMAO-B阻害薬投与前後の被殻対小脳比、尾状核対小脳比は2名で増加、2名で減少を示した。治療前のBPは2.39±0.39、2.05±0.37で、治療後は2.44±0.46、2.05±0.30であり、増減率は平均で2.10%、0.67%の増加であった。塩酸セレギニンの治療効果との関係をみると効果のみられた2名ではいずれも集積(BP)が低下した。これら2例ではMAO-B阻害薬がドパミンの分解抑制とドパミンの再取り込みを抑制して内因性のドパミン濃度を高め、治療効果を発現させるとともにC-11ラクロプライドと拮抗しBDを低下させたと考えられ、C-11ラクロプライドPETにより薬効を客観的に評価できた。
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