2000 Fiscal Year Annual Research Report
側頭葉てんかん発症機序の研究-新しいけいれん重積モデルを用いた実験的検討-
Project/Area Number |
12670940
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山田 了大 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (10240029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 昌純 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (00325101)
佐藤 俊樹 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (30304348)
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Keywords | 側頭葉てんかん / けいれん重積 / 海馬 / ラット |
Research Abstract |
平成12年度は、SDラット(N=19)の腹側海馬に深部電極を挿入し、その電極を通じて、20Hz,20秒間の双極矩形波の間欠的電気刺激を1分毎に最大100回与えた。ラットは3群に分け、うち2群は電気刺激30分前にそれぞれadenosine受容体拮抗薬であるaminophylline20mg/kg(SA群)または生理食塩水(S群)を腹腔内投与した。もう1群はaminophylline投与のみを行い、電気刺激は与えなかった(C群)。電気刺激により重積を惹起させた後、2および8週間の無刺激期間後に最初と同じ刺激条件で10回の再刺激を加え(retest)、その反応を観察した。 S,SA群とも最大100回までの間欠的電気刺激により、自己維持性の発作発射が認められ、発作重積に至った。C群では行動上、脳波上ともに変化は見られなかった。Retestに対する反応ではC群に対しS,SA両群において最大発作段階が有意に増加(重積後2,8週とも)し、また最大後発射(脳波上発作活動)持続時間が有意に延長(重積後8週のみ)していた。これらの結果から、腹側海馬を焦点とする間欠的電気刺激によって発作重積を起こした動物では、重積後2-8週間のあいだ刺激を加えなくても、retestに対する発作反応が次第に増大し、いわゆるdelayedkindling effectが観察された。これは、発作重積エポックをトリガーとする側頭葉てんかんの発症機序を模倣するモデルとしての重要な意義を持つものと考えられる。(投稿準備中) なお深部梨状葉皮質を刺激焦点として、海馬でretestを行う実験も進行中であり、今後この実験シリーズを完成させ、さらに免疫組織化学法を使った興奮性アミノ酸受容体や前シナプス蛋白などの変化について、さらに重積エポック後におこるdelayed kindling effectの予防が薬理学的に可能であるか否かについて実験を重ねる予定である
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