2000 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の自殺予防に関する研究:プライマリケアの場における自殺予防に焦点を当てて
Project/Area Number |
12670968
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
高橋 祥友 財団法人東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 副参事研究員 (30163299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 直樹 財団法人東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 副参事研究員 (70311420)
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Keywords | 自殺 / 自殺未遂 / 危険因子 / 高齢者 / プライマリケア / 評価尺度 |
Research Abstract |
東京都老人医療センターと協力して、自殺の危険の高い高齢者の特徴について従来から調査研究を進めてきた。その結果、高齢者は非典型的なうつ病の症状を呈することが多く、身体化された症状を訴えて(精神科医療機関ではなく)プライマリケア医のもとをしばしば受診していることが明らかになった。しかし、プライマリケア医には高齢者の精神症状に関する知識が不十分で、精神疾患が正しく診断されず、治療も実施されないままに、自殺企図に及ぶ患者が多数存在していた。そこで、プライマリケアの場で高齢者の自殺の危険を正しく評価する尺度を開発することを目的に本研究を進めてきた。平成12年度は以下のように研究を進めてきた。 1)東京都老人医療センターで実施した自殺の危険の高い高齢患者に関する調査に基づき、プライマリケアの場で実際に実用可能な簡便かつ理解しやすい評価尺度を開発中である。 2)現在、簡便かつ信頼性の高い尺度の開発を目指しているが、多忙なプライマリケアの場で臨床医、看護婦、保健関係従事者が利用しやすいものにすることにはさまざまな困難な点が出てきている。精度の高いものにしようとすれば、煩雑な尺度になってしまう反面、簡単すぎると疑陽性を多く拾い出してしまう危険があるのだ。 3)評価尺度は簡便に数値化できるようにして、うつ病の重症度や自殺の危険を示すことができるものにすることを目指している。 4)自殺の危険の高い患者をどの段階までプライマリケア医が扱い、どの段階にまで至ったら精神科医療へと紹介すべきかという点についても検討を重ねた。自殺の危険が緊急に迫り、プライマリケアの場から専門の精神科治療に導入しなければならない段階についても検討中である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Leenaars,A.,Takahashi,Y., et al.: "Controlling the environment to prevent suicide : International Perspectives"Canadian Journal of Psychiatry. 45(3). 639-644 (2000)
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[Publications] 高橋祥友: "老年期の自殺の最近の話題"最新精神医学. 5(4). 377-383 (2000)
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[Publications] 高橋祥友: "中高年者の自殺"日本社会精神医学会雑誌. 9(1). 85-90 (2000)
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[Publications] 高橋祥友: "気分障害と自殺"臨床精神医学. 29(8). 877-884 (2000)
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[Publications] 高橋祥友: "うつ病と自殺"日本医師会雑誌. 124(1). 59-62 (2000)
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[Publications] 高橋祥友: "景気変動と自殺"精神科診断学. 11(3). 291-298 (2000)
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[Publications] 高橋祥友: "中高年の自殺を防ぐ本"法研. 240 (2000)
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[Publications] 高橋祥友: "中年期とこころの危機"日本放送出版協会. 270