2001 Fiscal Year Annual Research Report
欠矢マウスを用いたヘパラン硫酸プロテオグリカン・Ryudocanの生理的機能解析
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12670981
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小嶋 哲人 名古屋大学, 医学部, 教授 (40161913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 晃士 名古屋大学, 医学部・附属病院, 医員
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Keywords | ryudocan / 欠失マウス / 腎臓機能障害 / カッパーカラゲナン / 閉塞性腎症 |
Research Abstract |
昨年度、本研究ではryudocan欠失マウスの胎児よりryudocan欠損線維芽細胞を単離培養し、focal adhesion(FA)形成においてryudocanは必須ではないが、培養液中の可溶性fibronectinのヘパリン結合フラグメントからのFA形成シグナル伝達には必要であることを報告した。今年度は、マウスの腎臓におけるryudocanの局在、ならびにryudocan欠損による腎臓機能障害について検討した。成体マウス腎臓での組織免疫学的解析では、乳頭、髄質の集合管、遠位尿細管、皮質の一部の遠位尿細管および糸球体、更に一部の毛細血管でryudocanの強い発現を認めた。しかし、ryudocan欠失マウスでも腎臓の組織像に異常がないため、ryudocanが腎臓組織形成・分化に必須ではないことが分かった。また、成体マウスにおいて種々の腎機能を検討したがryudocan欠損による明らかな異常は認められなかった。そこで、腎障害をもたらすようなストレスを負荷して検討した結果、カッパーカラゲナンを75mg/kg腹腔内投与したところ野生型では24匹中1匹も死亡しなかったのに対して、ryudocan欠損型では約30%(7匹)が1週間以内に死亡した。そして、カッパーカラゲナン投与1日後、4日後にその時点で生き残っているryudocan欠損型マウスのBUNを測定した結果、野生型と比較し有意に高値を示した。また、死亡原因を検討するため、カッパーカラゲナン投与後に衰弱したryudocan欠損マウスの諸臓器の組織像を検討した結果、腎臓の髄質が高度に変性し、皮質の尿細管が著明に拡張している所見を認めた。アルシアンブルー染色及びカラゲナンに対する免疫染色の結果、変性した髄質にはカッパーカラゲナンが多量に沈着しているのを認めた。これらの変化は野生型では軽度であった。また、他の臓器には死亡をもたらすような明らかな異常を認めなかった。これまでカッパーカラゲナンは集合管に沈着し閉塞性腎症をもたらすことが報告されている。従って、集合管に発現しているryudocanが欠損することによりカッパーカラゲナンが集合管に沈着しやすくなり、その結果腎臓の髄質が高度に変性し閉塞性腎症に至り腎不全に陥ったことが考えられた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] K. Ishiguro: "Syndecan-4 deficiency impairs the fetal vessels in the placental labyrinth"Dev. Dyn.. 219. 539-544 (2001)
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[Publications] S. Kunishima: "Mutations in the NMMHC-A gene cause autosomal dominant macrothrombocyto-penia with leukocyte inclusions(May-Hegglin anomaly/Sebastian syndrome)"Blood. 97. 1147-1149 (2001)
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[Publications] T. Kojima: "Plasma Levels of Syndecan-4(Ryudocan) Are Elevated in Patients with Acute Myocardial Infarction"Thromb Haemost. 85. 793-799 (2001)
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[Publications] K. Ishiguro: "Syndecan-4 Deficiency Increase Susceptability to k-Carrageenan-Induced Renal Damage"Lab. Invest.. 81. 509-516 (2001)
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[Publications] T. Iwaki: "DNA sequence analysis of protein S deficiency-identification of four point mutations in twelve Japanese subjects"Semin. Thromb. Hemost.. 27. 155-160 (2001)
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[Publications] T. Shimokawa: "Expression of Protein S in the Murine Heart and Cultured Mouse Cardiomyocytes, Is Down-regulated by Cytokines"Thromb. Haemost.. 86. 623-629 (2001)
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[Publications] 小嶋哲人: "新しいDICの病態・診断・治療 III.治療 4.抗凝固薬 1)ヘパリン 2)低分子ヘパリン 3)ヘパラン硫酸"医薬ジャーナル社. 6 (2001)