2000 Fiscal Year Annual Research Report
PIG-A遺伝子変異の高感度検出法の確立と発作性夜間血色素尿症の病態解析への応用
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12670985
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
待井 隆志 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (50124780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金倉 譲 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20177489)
池田 弘和 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10311755)
柴山 浩彦 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
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Keywords | PNH / PIG-A遺伝子 / GPIアンカー / 造血幹細胞 / CD59 / レトロウイルスベクター |
Research Abstract |
1.初期のPIG-A遺伝子の解析から6-10年経過しているPNH症例4例(2例はオリゴクローン)について再度遺伝子解析を行った。その結果、いずれの症例においても初期の変異クローンが現在も優勢クローンとして存在していることが示された。この成績は1個のPNH幹細胞クローンが交代することなく長期にわたって造血を維持しうることを強く示唆した。 2.PNH型細胞株とその野生株から1%、0.1%のPNH型細胞浮遊液を作成し、アエロリジンによるGPI-アンカー蛋白(GPI-AP)陰性細胞の濃縮を試みた結果、それぞれ55%、27%に濃縮できた。さらに酵素処理とhetero-duplex形成を組み合わせたEMDアッセイ法によりこれらでPIG-A変異を検出することができた。 3.PNHの臨床所見を欠き、さらに通常の蛍光抗体法ではGPI-AP陰性細胞の検出されない再生不良性貧血、骨髄異形性症候群39例について高感度CD59アッセイを試み、約3割にCD59陰性赤血球の増加を認めた。 4.PIG-A蛋白はGPIアンカー生合成の第1段階で他の4種の蛋白と複合体を形成してGlcNAc転移酵素活性を示す。PNH患者で見つかったミスセンス変異を有する21種の変異PIG-Aを作成し、PIG-A欠損B細胞株に導入し、変異PIG-A蛋白の転移酵素活性を測定した結果、それぞれ対応する症例のGPI-APの発現とほぼ相関した。変異PIG-A蛋白とPIG-G、-H、GPI1との結合をしらべた結果、4種の変異蛋白で後者との結合に異常を認めた。 5.レトロウイルスベクターにPIG-A遺伝子とマーカー遺伝子(NGFR)を組み込みコンストラクト(MPIN)を作成し、種々のPNH型血球に導入しGPI-AP発現回復効果を検討した。MPINは種々のPNH型細胞株、造血前駆細胞に効率よく導入され、GPI-APの発現回復が確認された。さらにMPINは健常人から得たCD34+造血幹細胞にも導入できた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 弘田稔幸 他: "PNH患者における同一変異クローンによる長期間にわたる造血の維持"補体シンポジウム・日本生体防御学会合同学術集会 講演集. 23-24 (2000)
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[Publications] 桑山真輝 他: "発作性夜間血色素尿患者にみうれるミスセンス変異をもつPIG-A蛋白の機能的分類"補体シンポジウム・日本生体防御学会合同学術集会 講演集. 25-26 (2000)
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[Publications] Yamaguchi M et al: "Detection of small populations of CD59-deficient erythrocytes in patients with aplastic anemia or myelodysplastic syndrome and normal individuals."Blood Cells, Mokcules, and Diseases. 26・3. 247-254 (2000)
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[Publications] Nishimura J et al: "Efficient retrovirus-mediated PIG-A gene transfer and stable restoration of GPI-anchored expression in cells with PNH phenotype"Blood. (in press).