2000 Fiscal Year Annual Research Report
Etsファミリー写因子PU.1による赤白血病細胞の分化抑制機構の解析
Project/Area Number |
12671015
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Research Institution | Sasaki Institute |
Principal Investigator |
山田 俊幸 (財)佐々木研究所, 細胞遺伝部, 主任研究員 (20183981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根岸 文子 (財)佐々木研究所, 細胞遺伝部, 研究員 (40177902)
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Keywords | PU.1 / マウス赤白血病(MEL) / 分化の抑制 / 分化のスイッチ |
Research Abstract |
我々はこれまでに、PU.1の過剰発現により赤血球分化が抑制されたマウス赤白血病(MEL)細胞において発現に変化の見られる遺伝子をDifferential Display法により検索した。本研究はこの結果をもとにPU.1による同細胞の分化抑制機構を解明することを目的としている。平成12年度においては以下の解析を行った。 PU.1過剰発現によりMEL細胞中で発現が上昇する未知の遺伝子のうちのひとつは、本来は血液細胞と胚性腫瘍細胞にのみ発現が認められる遺伝子であり、特に血液細胞の中ではT細胞で高く発現していることが明らかになった。この興味ある遺伝子のクローニングを開始した。 発現が上昇する既知の遺伝子には、osteopontin、eosinophil cationic protein.B144といった骨髄単球系細胞に特異的な遺伝子が含まれていた。そこで同細胞系列に特異的な遺伝子の発現をさらに検索したところ、Mac-1、GM-CSF受容体、C/EBP等のいくつかの遺伝子の発現上昇が認められた。PU.1を過剰発現したMEL細胞は付着性を示し、NBT還元能が上昇し、貪食能も有していた。一方、我々は転写活性化ドメインの一部を欠いた変異PU.1によってもMEL細胞の赤血球分化が抑制されることを見い出しているが、この変異体によっては骨髄単球系細胞に特異的な遺伝子の発現は誘導されなかった。以上のことから、(1)PU.1はMEL細胞の赤血球分化を抑制するだけでなく、骨髄単球系細胞へと分化をスイッチさせること、(2)これにはPU.1の転写因子としての働きが必要なこと、さらに(3)赤血球分化の抑制は骨髄単球方向への分化のスイッチの結果ではないこと、が示された。これらの結果は英文論文として発表した(Blood印刷中)。
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Research Products
(1 results)