2001 Fiscal Year Annual Research Report
虚血性急性腎不全における細胞間接着装置の変化に関する研究
Project/Area Number |
12671040
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
塚本 達雄 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (00314485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 利充 神戸大学, 医学部・附属病院, 講師 (10219371)
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Keywords | 虚血 / 腎不全 / アドヘレンス・ジャンクション / タイト・ジャンクション / チロシンキナーゼ / プロテアソーム |
Research Abstract |
虚血性急性腎不全モデルとして、(1)腎尿細管由来培養細胞を用いて細胞内ATPを欠乏状態とする、(2)マウス左腎動脈をクランプすることにより腎血流を遮断する、の2つを前年度に引き続き用いた。上皮細胞極性形成とその維持に重要な役割を演じているE-カドヘリン(アドヘレンス・ジャンクション)は、ATP欠乏状態の培養細胞および虚血腎にて80kDaの他に新たに35kDaのフラグメントを検出した。この分解にも未知の酵素活性が関与している可能性が示され、現在その同定をするための実験を開始している。また、80kDaフラグメントは細胞外の分解であるが、35kDaの分解は細胞内で起こることが明かとなった。一方、タイト・ジャンクション膜蛋白であるオクルジンも分解を受け、細胞内に取り込まれたが、クロージンは虚血が進行しても細胞内に取り込まれることはなく、細胞表面上でその分布を変化させた。急性腎不全回復期にはSrcチロシンキナーゼ活性上昇がみられるので、温度感受性v-Srcを活性化することによりジャンクション蛋白の変化をみた。V-Srcキナーゼによりほとんどのジャンクション構成蛋白はチロシンリン酸化を受けたが、プロテアソーム阻害薬を作用させるとそのリン酸化反応は著明に抑制された。この過程でユビキチンリガーゼ活性を持つc-Cblが著明に減少することから、v-Srcキナーゼ活性上昇に伴う一連のリン酸化反応にプロテアソームを介する蛋白分解が重要な役割を演じていることが明らかとなった。この機序がv-Srcに直接的に働くものか否かに関して検討を進めている。現在これらの知見を複数の論文にまとめる作業に入っている。
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