2001 Fiscal Year Annual Research Report
透析患者のドライウエイト設定と血管透過性に関する研究
Project/Area Number |
12671045
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
田部井 薫 自治医科大学, 医学部, 助教授 (90155234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 豊 自治医科大学, 医学部, 助手 (70240984)
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Keywords | 血液透析 / ドライウエイト / 適正体重 / 血管透過性 / ANP / BNP / クリットライン / 除水速度 |
Research Abstract |
透析患者では、透析間に体重の5%前後の水分貯留が必須で、透析ではそれを4時間という短時間で除水しなければならない。この時、透析後体重の設定が透析の良否に大きな影響を与え、心不全を惹起したり、透析中の血圧低下、透析後の全身倦怠感などを誘発する。今回の我々の研究の目標は、透析後の適性体重(ドライウエイト)設定へのアプローチ方法とフローチャートの作成、および、その臨床的根拠の検討である。 現在、平成13年度には、維持血液透析患者計130名を対象として、クリットラインによる循環血液量の変化と心胸郭比、ANP、BNPの関係について検討を行なった。その結果、適正体重の設定に問題の無いと思われる患者では、体重の1%の除水にて循環血液量は3%前後減少することが明かとなった。さらに、除水量1%体重当たりの循環血液量減少率(%BV/%BW)は、ANP、BNPと逆相関するすることが明らかとなった。すなわち、透析前ANP、BNPが高値の症例では、循環血液量の過剰負荷があり、そのような状態では除水にてもplasma refillingが十分であるため、循環血液量の変化率は少ない。逆に透析前ANP、BNPが低値の症例では、循環血液量の過剰負荷がなく、除水にてもplasma refillingが十分でないため循環血液量は除水により減少する速度が大きくなる。このことは、我々が仮説としてきた「透析患者においては、ANPが血管透過性の調節因子である」ことを強く示唆する所見であった。本年度は、心不全を合併する症例36名を対象に同様の検討を行った。その結果、%BV/%BWは、合併症のない患者群と有意差が無いことが明らかとなった。しかし、透析前ANP、BNP値と%BV/%BWの関係は、逆相関があるものの、平行移動を示していた。すなわち、ANP、BNPが高値であるほどplasma refillingは亢進するが、その程度は合併症の無い患者群に比べ少なかった。このことは、循環器合併症のためにANP、BNP高値が持続することにより、血管透過性亢進はdown regulationを受けていることを示唆するものと考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 大河原晋: "血液透析におけるplasma refilling coefficient (mean Kr) 算出の臨床的意義の検討"透析会誌. 34(8). 1185-1192 (2001)
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[Publications] Ookawara S: "Effect of postural change on blood volume in long-term hemodialysis patients"Nephron. 87. 27-34 (2001)