2000 Fiscal Year Annual Research Report
TGF-βとその情報伝達分子Smadによる腹膜硬化症の進展の制御
Project/Area Number |
12671058
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
河野 啓助 久留米大学, 医学部, 助手 (70258416)
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Keywords | TGF-β / Smad / 細胞外マトリックス / 線維化 / 腹膜硬化症 / 腹膜透析 / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
細胞の分化増殖、発生、免疫に関与するTGF-βは、病的過剰状態において、組織の硬化や線維化に重要な役割を果たす.TGF-βの細胞内情報伝達分子Smadには、特異型(Smad2/3)、共有型(Smad4)、抑制型(Smad6/7)がある.今回我々は、Smadをアデノウイルスベクターによって培養細胞に遺伝子導入を行い、TGF-βのシグナル伝達を検討した. Smad7の強制発現は、TGF-βによる細胞増殖抑制作用やplasminogen activator inhibitor-1の発現増強作用を抑制した.また、a-smooth muscle cell actinやMHCなどのTGF-β誘導蛋白の発現もSmad7によって減弱した.これらの作用はsmad6にはなくsmad7に特異的であった.また、これらの系にはSmad7によるSmad2のリン酸化を抑制する機序が介在することが明かになった.以上のようにSmad7は、TGF-βの作用を遮断することが明らかになった.一方、腹膜硬化症モデルを作製するため、SDラットあるいはBjマウスにポピヨンヨードを腹腔内に投与した所、2週間後に軽度の腹膜肥厚を、4週目では、腹膜の高度肥厚、癒着などの所見を認めた.この肥厚には、細胞外マトリックス蛋白の増加が観察されたため、このモデルは腹膜硬化症の実験モデルと考えられた.今後は、このモデルにアデノウイルスベクターによる抑制型Smad遺伝子の腹膜における発現を行い、その抗線維化作用の検定を行う予定である.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kohno K, et al: "Depressor effect by exercise training is associated with amelioration of hyperinsulinemia and sympathetic overactivity."Intern Med.. 39(12). 1013-9 (2000)
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[Publications] Kohno K, et al: "Minimal change nephrotic syndrome associated with rifampicin treatment"Nephrol Dial Transplant.. 15(7). 1056-9 (2000)
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[Publications] Kohno K, et al: "A case of normotensive scleroderma renal crisis after high-dose methylprednisolone treatment"Clin Nephrol.. 53(6). 479-82 (2000)