2000 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺におけるインターフェロンγの細胞内情報伝達系の役割の研究
Project/Area Number |
12671073
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森 弘毅 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80301050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 克己 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (90166942)
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Keywords | インターフェロン / 甲状腺 / IRF-1 / 2本鎖RNA |
Research Abstract |
〈IRF-1〉8週間のヨード負荷により、IRF-1(+/+)、(+/-)NODマウス(14週令)はリンパ球性甲状腺炎(LT)を発症したが、(-/-)マウスは発症しなかった。対照群ではLTの発症は(+/-)マウスの1匹に認めたのみであった。一方ヨード負荷をせずに飼育した24週令NODマウスでは、IRF-1にかかわらず約50%のマウスがLTを発症した。両者のメカニズムの違いを明らかにするため、マウスの脾細胞をフローサイトメトリーで解析した。24週令マウスでは、(-/-)マウスのCD4/CD8比は(+/+)、(+/-)マウスに比し、明らかに上昇していた。この比はヨード負荷の影響を受けなかつた。また脾細胞をConAで刺激すると、細胞増殖及び培養液中へのIL-10の分泌はIRF-1の影響を受けなかったが、IFNγの分泌は(-/-)マウスで有意に低下していた。これらもヨード負荷の影響を受けなかった。以上のことより、IRF-1の欠損はCD8陽性T細胞の減少及びTh1反応の低下をもたらすが、これらはNODマウスにおけるLTの自然発症に重要ではないことが示された。一方これらの変化は、(-/-)マウスでヨード負荷によるLTの発症が抑制されることに関与することが示唆された。 〈PKR〉ラット培養甲状腺細胞FRTL-5において、自己リン酸化されたPKRを検出した。また2本鎖RNAによりタイプIIFN、特にIFNβ遺伝子の発現が誘導された。IFNβはSTAT1のリン酸化を誘導した。これまでの結果と合わせると、甲状腺細胞には機能的な2本鎖RNA及びPKR依存性情報伝達系が存在し、これらを介してインターフェロンや2本鎖RNAが甲状腺細胞に作用することが示された。以上の結果は平成12年度国際甲状腺学会において発表された。
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