2001 Fiscal Year Annual Research Report
BMP依存性転写因子による骨芽細胞分化促進機序の解明-老人性骨粗鬆症治療法開発の基礎的検討
Project/Area Number |
12671074
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中山 耕之介 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (20322076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福本 誠二 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (30202287)
竹内 靖博 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50202164)
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Keywords | 骨粗鬆症 / 骨芽細胞 / 骨形成 / BMP / Smad / SIP-1 / 筋芽細胞 / チロシンキナーゼ受容体 |
Research Abstract |
本研究は、骨芽細胞分化を強力に促進するBMPの転写レベルでの調節機構の解明を通して、老人性骨粗鬆症の病態の解明とその治療法開発へ向けての基礎的検討となることを目指した。 1.BMP依存性転写因子SIP-1の骨芽細胞および筋芽細胞分化への関与の解明 BMPの細胞内情報伝達には、Smad蛋白が重要な役割を担っている。SIP-1は、SmadにBMP依存性に結合してその転写活性を調節する転写因子である。SIP-1mRNAは、マウス骨芽細胞系MC3T3-E1細胞およびマウス筋芽細胞系C2C12細胞のいずれでもBMP依存性に発現が誘導された。SIP-1は両細胞においてSmad6プロモータのBMP反応性を抑制し、BMPシグナルを抑制することが示された。また、SIP-1は筋芽細胞分化マーカーのプロモータ活性を抑制したことから、筋芽細胞分化を抑制することが示された。老人性骨粗鬆症では、骨形成の低下のほか、加齢に伴う筋力低下も病態の増悪に関与する可能性がある。従って本知見は、SIP-1が老人性骨粗鬆症発症機序において必須の役割を担う可能性をホすと考えられる。 2.チロシンキナーゼ受容体を介するシグナルによるBMPシグナルの抑制 bFGFなどの成長因子は、骨芽細胞の増殖を促進する一方で、その分化を抑制する。。これらの成長因子は、Smad6プロモータのBMP反応性を抑制した。この効果は、BMP-反応性領域およびSmad蛋白を介すること、チロシンキナーゼ受容体-Ras-MEK-ERK経路を介して伝達されることが示された。骨折治癒のように、骨形成が強力に促進される過程では、bFGFとBMPが時問的、空間的に制御された一連の流れの中で発現して、骨芽細胞の増殖と分化を調節することにより、効果的に骨形成を促進する。したがって本研究の成果は、このような生理的な骨形成の調節機序の一端を解明したものである。
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