2001 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子NF-кBと甲状腺ホルモン受容体機能のクロストーク
Project/Area Number |
12671078
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
長屋 敬 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (80262913)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神部 福司 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (00211871)
妹尾 久雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (40135380)
|
Keywords | 甲状腺ホルモンレセプター / NF-кB / euthyroid sick syndrome / サイトカイン / 甲状腺ホルモン |
Research Abstract |
TNFαにより活性化される転写因子NF-кBの甲状腺ホルモンの作用に対する影響を、甲状腺ホルモンの標的臓器である肝に注目して解析した。 ヒト肝に由来するHepG2細胞を用いて、T3およびTNFαを添加した後RNAを抽出し、甲状腺ホルモン応答性遺伝子である5'-deiodinase(5'-DI)mRNA発現を検討したところ、T3により増加する5'-DI mRNA発現はTNFαの存在下で減弱していた。5'-DI転写調節領域をルシフェラーゼ・リポーター遺伝子へ組み込み、細胞に遺伝子導入してT3およびTNFαの効果を検討したところ、5'-DI mRNA発現の結果と一致して、T3により上昇するルシフェラーゼ活性がTNFα添加により抑制を受けた。TNFαにより活性化されるNF-кBがこの抑制に関わるかについて、NF-кBの機能を抑制するドミナントネガティブNF-кB(p65 DN)を用いて検討した。p65 DNの発現によりTNFαによるT3作用の抑制が解除されたことより、TNFαによるT3作用の抑制はNF-кBを介するものである可能性が示された。敗血症などの重篤な疾患の末期に認められるeuthyroid sick syndromeは上昇したTNFαにより引き起こされ、また肝における5'-DIが低下していることがその病態であるとされている。今回の研究により明らかにされたTNFα依存性NF-кB活性化によるT3作用の抑制がeuthyroid sick syndromeの病態の一端を示しているかもしれない。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Kikumori T, 他: "Thyrotropin modifies activation of nuclear factor-кB by tumor necrosis factor α in rat thyroid cell line"Biochem. J.. 354. 573-579 (2000)
-
[Publications] Nagaya T, 他: "A Potential role of activated NF-кB in the pathogenesis of euthyroid sick syndrome"J. Clin. Invest.. 106. 393-402 (2000)
-
[Publications] Sarkar D, 他: "Culture in vector-averaged gravity under clinostat rotation results in apoptosis of osteoblastic ROS 17/2.8 cells"J. Bone Miner. Res.. 15. 489-498 (2000)
-
[Publications] 長屋 敬, 他: "NF-кBと核内受容体のクロストーク"内分泌・糖尿病科. 10. 348-356 (2000)
-
[Publications] 長屋 敬, 他: "レチノイドX受容体(RXR)の蛋白分解による甲状腺ホルモン作用の修飾"ホルモンと臨床. 48. 31-39 (2000)