2000 Fiscal Year Annual Research Report
レプチン過剰発現トランスジェニックマウスを用いたレプチン抵抗性の分子機構の解明
Project/Area Number |
12671079
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井上 元 京都大学, 医学研究科, 助手 (20260606)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 佳宏 京都大学, 医学研究科, 助手 (70291424)
|
Keywords | レプチン抵抗性 / 高脂肪食 / 視床下部摂食調節神経ペプチド群 / トランスジェニックマウス / エネルギー消費 |
Research Abstract |
現在、アメリカ合衆国において肥満者に対するリコンビナント・レプチンの臨床トライアルが進行中であるが、大部分の肥満者が高レプチン血症を伴う「レプチン抵抗性」状態にあると考えられるため、末梢からのレプチン投与が充分に奏功しない事例が少なからず報告されている。本研究はこのような実情を踏まえて、申請者らが独自に開発したレプチンのトランスジェニックマウスがレプチン高感受性マウスであることに着目し、そのマウスを用いて「レプチン抵抗性」発症の分子機構を明らかにすることを目的に検討を行っている。このトランスジェニックマウスに高カロリー食を与えることにより、このマウスに肥満を誘導できることを新たに見出した。脂質が44%での高脂肪食で飼育した場合、一時的に摂取カロリーが低下した後に、徐々に摂取カロリーが増加し、体重が増加するのに対し、脂質を60%とした場合には、一時的に摂取カロリーが増加するが、以後は摂取カロリーに変化が認められないにもかかわらず、体重が増加することを確認した。従って、両条件におけるレプチン抵抗性の発生機序が異なると考えられた。脂質を60%とした場合には、体重増加の機序として、摂食量には変化が見られないことから、エネルギー消費が低下する可能性が最も考えられ、現在、エネルギー代謝のパラメーターについて検討中である。今のところ、血中代謝指標については、コントロールと比較して有意な差異は認めていないが、今後インスリン抵抗性の程度など検討していく予定である。また、条件が確定でき次第、レプチン抵抗性の誘導の相違の原因を、プロオピオメラノコルチン(POMC)、cocain-and amphetamine-regulated transcript(CART)、拮抗因子としてのneuropeptide Y(NPY)やagouti-related peptide(AGRP)など視床下部摂食調節神経ペプチド群の遺伝子発現様式の変化を明らかにすることにより、解明していく予定である。
|
-
[Publications] Matsuoka N, et al.: "Decreased triglyceride-rich lipoproteins in transgenic skinny mice overexpressing leptin."Am J Physiol Endocrinol Metab.. 280(2). E334-E339 (2001)
-
[Publications] Aizawa-Abe M,, et al.: "Pathophysiological role of leptin in obesity-related hypertension."J Clin Invest.. 105(9). 1243-1252 (2000)
-
[Publications] Yamamoto Y, et al.: "Constitutively active mitogen-activated protein kinase kinase increases GLUT1 expression and recruits both GLUT1 and GLUT4 at the cell surface in 3T3-L1 adipocytes."Diabetes. 49(3). 332-339 (2000)
-
[Publications] Yura S, et al.: "Accelerated puberty and late-onset hypothalamic hypogonadism in female transgenic skinny mice overexpressing leptin."J Clin Invest.. 105(6). 749-755 (2000)
-
[Publications] 井上元: "脂肪細胞の分化とインスリン依存性糖輸送"分子糖尿病学の進歩-基礎から臨床まで-. (2001)
-
[Publications] 黄真,井上元,中尾一和: "肥満、高脂肪食によるインスリン抵抗性"内科. 87巻5号. (2001)