2000 Fiscal Year Annual Research Report
新たに発見されたTNF-α高産生性遺伝子と糖尿病および慢性合併症との関連の解析
Project/Area Number |
12671095
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 譲 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (60125565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 和真 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (60292215)
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Keywords | TNF-α / 遺伝子多型 / 糖尿病合併症 / 糖尿病神経障害 |
Research Abstract |
糖尿病状態ではTNF-αの産生が亢進し、TNF-α産生抑制作用のあるN-アセチルシステイン、トログリタゾン、グリクラジドなどの投与は血糖に影響することなく糖尿病動物の末梢神経障害の進展を抑制することから、.糖尿病性神経障害の成因にTNF-αが関与していることが推測される。最近、日本人に多い、TNF-αの産生性に影響するTNF-αプロモーター領域の遺伝子多型、C(-857)T、C(-863)A、T(-1031)C、が報告された。本研究ではこれらの遺伝子多型と糖尿性末梢神経障害の関連を日本人2型糖尿病患者を対象に解析した。対象は当科の2型糖尿病患者94人であり、それぞれの多型の有無によって2群に分けた;-857C/C(N=61)と-857(C/T+T/T)(N=33)、-863C/C(N=64)と-863(C/A+A/A)(N=30)、-1031T/T(N=64)と-1031(T/C+C/C)(N=30)。それぞれの多型の2群間で、性、年齢、糖尿病罹病期間、身長、BMI、空腹時血糖値、HbA1c、血清総コレステロール値、治療内容、血圧などの背景因子に有意差はなかったが、中性脂肪のみが-857(C/T+T/T)で857C/Cよりも有意に高かった(91.9±43.3対134±61.7mg/dl,P<0.001)。-863と-1031では中性脂肪値に有意差はなかった。正中神経の運動神経伝導速度(MNCV)については-857(C/T+T/T) と-857C/Cとで差がなかったにも関わらず、F波潜時が-857(C/T+T/T)では-857C/Cより有意に延長していた(29.0±6.2対26.3±3.5ミリ秒、P<0.01)。-863と-1031TNF-α多型についてはMNCVにもF波潜時にも有意差はなかった。-857(C/T+T/T)はTNF-α高産生性であり、また、F波潜時は神経障害の初期に延長することが報告されていることから、本データはTNF-α高産生性遺伝子多型と初期の糖尿病性神経障害が相関することを示している。糖尿病性神経障害におけるTNF-αの役割がさらに強く示唆された。
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