2001 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニックマウスによるUCP3の糖尿病・肥満における病態生理的意義の解明
Project/Area Number |
12671110
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
細田 公則 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助手 (40271598)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 達也 京都大学, 大学院・医学研究科, 助手 (00314211)
井上 元 京都大学, 大学院・医学研究科, 助手 (20260606)
伊藤 裕 京都大学, 大学院・医学研究科, 講師 (40252457)
吉政 康直 国立循環器病センター, 部長 (00252437)
|
Keywords | 肥満 / 糖尿病 / UCP / エネルギー代謝 / エネルギー消費 |
Research Abstract |
(目的)エネルギー代謝調節系は摂食調節系とエネルギー消費調節系から成る。骨格筋は全身のエネルギー消費の約4割に相当するが、その分子機構の研究が遅れている。我々は骨格筋に高濃度に発現するUCP3を新規に同定した。本研究では骨格筋特異的UCP3過剰発現Tgマウスを作製・解析し、エネルギー消費調節におけるUCP3の意義の解明を行った。(方法)mouse muscle creatinine kinaseプロモーターの下流にマウスUCP3cDNAを発現する骨格筋特異的UCP3過剰発現Tgマウスを作製した。(結果)UCP3発現の最も高い系統は遺伝子発現レベルで18倍、蛋白レベルで15倍であった。通常食では体重は対照マウスに比較して有意な低下を示さず、その他に特に有意な形質を示さなかった。高脂肪食ではTgマウスの体重は対照マウスに比較して約15%の有意な減少を示し、高脂肪食負荷の4週間の体重増加は、Tgマウスで約50%低下していた。副精巣周囲白色脂肪組織重量は約20%低下していた。他の組織の重量には、有意差が認められなかった。高脂肪食下でも摂食量はTgマウスと対照マウスで有意差を認めなかった。Tgマウスの体温は有意差を示さなかったが、酸素消費量は約25%の有意な増加を示した。糖負荷試験およびインスリン負荷試験でTgマウスの耐糖能は対照マウスに比較して有意な改善を示した。通常食と高脂肪食の条件で、血中の糖、脂質の濃度は特に有意差を認めなかった。組織学的検討で特に異常を認めなかった。(結論)高脂肪食でTgマウスで対照マウスに比較して、有意な体重の低下、有意な副精巣周囲白色脂肪組織重量の低下、高脂肪食期間中の体重増加の著明な低下、有意なエネルギー消費の増加、耐糖能の改善が認められ、摂食量、体温に関しては有意差を認めなかった。体重の低下は、有意なエネルギー消費の増加によるものであると考えられた。生理的刺激によるUCP3の発現誘導の範囲の誘導でも、肥満の条件では、エネルギー消費増加、体重減少の作用が認められることが示唆された。我々のTgマウスと同程度の発現誘導は薬剤でも可能と考えられるので、薬剤によりUCP3の活性を増強することの、肥満・糖尿病治療への応用の可能性が示唆された。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] C.Son, et al.: "Upregulation of UCP3 gene expression by fatty acids and agonists for peroxisome proliferator-activated receptors in L6 myotubes"Endocrinology. 142. 4189-4194 (2001)
-
[Publications] J.Fujikura, et al.: "Differentiation of embryonic stem cells is induced by GATA factors"Genes and Development. 16(7)(in press). (2002)
-
[Publications] M.Shintani, et al.: "Troglitazone not only increases glut4 but also induces its translocation in rat adipocytes"Diabetes. 50. 2296-2300 (2001)
-
[Publications] K.Ebihara, et al.: "Transgenic overexpression of leptin rescues insulin resistance and diabetes in a mouse model of lipoatrophic diabetes"Diabetes. 50. 1440-1448 (2001)
-
[Publications] H Yonemitsu, et al.: "Troglitazone induces GLUT4 translocation in L6 myotubes"Diabetes. 50. 1093-1101 (2001)
-
[Publications] M.Shintani, et al.: "Ghrelin, an endogenous growth hormone secretagogue, is a novel orexigenic peptide that antagonizes leptin action through the activation of hypothalamic neuropeptide Y/Y1 receptor pathway"Diabetes. 50. 227-232 (2001)