2000 Fiscal Year Annual Research Report
新たに1型糖尿病感受性MHC分子より分離された膵ラ氏島由来抗原の臨床免疫学的研究
Project/Area Number |
12671130
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Research Institution | Okinaka Memorial Institute for Medical Research |
Principal Investigator |
中西 幸二 (財)冲中記念成人病研究所, 研究員 (80211423)
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Keywords | 1型糖尿病 / MHC分子 / 抗原ペプチド |
Research Abstract |
[目的]1型糖尿病はMHCが関与する自己免疫疾患で、T細胞による膵β細胞の破壊により引き起こされる。本研究の目的は1型糖尿病感受性のMHC分子がどのような膵ラ氏島由来の抗原ペプチドを提示するのかを明らかにすることである。[方法]1型糖尿病患者の末梢血よりBリンパ球を分離し、大量培養を行い、一方は培養液のみ、もう一方には胎児膵ラ氏島細胞株の破砕物を加えた。培養B細胞からaffinity chromatographyにて、HLA-DR、-DQ分子を得、さらにこれらHLA分子より抗原ペプチドを分離し、逆相HPLCにかけた。膵ラ氏島細胞株破砕物の負荷によって特異的に現われるHPLCのピークにつきペプチドのシークエンシグを行ない、homology検索にて元の蛋白を同定した。胎児膵ラ氏島細胞株よりこの蛋白のcDNAをRT-PCR法で得、TA cloningを行ない、更に発現ベクターにsubcloningし、E.coliにて蛋白を発現させた。発現蛋白をaffinity chromatographyにて精製しwestern blottingを行なった。[成績]得られた抗原ペプチドはHLA-DR分子から分離されたペプチドで、その元の蛋白のcDNAをRT-PCRにてcloningすることが可能であった。E.coliでの蛋白の発現はこの蛋白はHis tagを付けた型では発現しなかったが、GST融合蛋白としては発現した。affinity chromatographyでの粗精製段階の蛋白を用いたwestern blottingでは、元々のBリンパ球が由来する1型糖尿病患者の発症時血清で、予想される分子量の位置に、抗GST抗体、モルモット抗ペプチド血清で現われるbandと一致する位置にbandが存在した。[考案]HLA-DR分子より分離された膵島由来抗原ペプチド、およびその元の蛋白を同定した。この蛋白を発現、粗精製してのwestern blottingの結果よりは少なくとも元々のBリンパ球の提供をうけた1型糖尿病患者の発症時にはこの蛋白に対する自己抗体が存在していたことを示している。
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