2001 Fiscal Year Annual Research Report
大動脈瘤の発生・進展の解明(TIMP遺伝子の導入だけで本当に瘤拡大が防げるか?)
Project/Area Number |
12671157
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
金岡 保 鳥取大学, 医学部・付属病院, 講師 (60294336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 喜雅 鳥取大学, 医学部, 助手 (00335514)
應儀 成ニ 鳥取大学, 医学部, 教授 (50168845)
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Keywords | 腹部大動脈瘤 / competitivePCR / matrix metalloproteinase(MMP) / 血管平滑筋細胞 / 免疫組織化学染色 / tissue inhibitor of metalloproteinase(TIMP) / ラット動脈瘤モデル / アポトーシス |
Research Abstract |
腹部大動脈瘤(AAA)の病態において、エラスチン代謝に関与するmatrix metalloproteinase(MMP)、特にMMP-2とMMP-9の過剰産生が重視されている。一方、AAAの治療法として、単純にMMPの特異的抑制物質であるtissue inhibitor of metalloproteinase(TIMP)の遺伝子導入に焦点が当てられている。AAAの病態は依然として不明であるため、本研究では、正常な大動脈やAAAと同様に動脈硬化所見を認める閉塞性動脈硬化症になぜ動脈壁の瘤化を認めないのかという点に注目し、動脈瘤の発生・進展過程の解明を目的としている。 本年度は、ヒトAAA壁を用いて、動脈瘤形成に関係するMMP-9の活性化に関与すると考えられているMMP-12の発現に注目した。その結果、AAA壁の外膜にマクロファージの分布と一致して,MMP-12が多く発現していて、MMP-9と有意な相関関係があったがTIMPsとの相関はなかった。したがって、MMP-9の活性を阻害するTEMP-1とは異なる独立した経路で、MMP-12がMMP-9を制御している可能性が示唆された。一方、AAA壁においてアポトーシスの発現を確認した。今後アポトーシスとMMPs、TIMPsとの関係が注目される。in vivoへ応用する準備として、培養ヒト大動脈平滑筋細胞(SMC)に種々のサイトカインを投与し、SMCのMMP-2とMMP-9産生の変化を観察した。その結果、IL-3、IL-6、TNF-αによりSMCのMMP-2産生能は促進されるが、MMP-9産生能は促進されないことが示された。したがって、SMCのMMP-2産生能を阻害することで、AAAの初期の変化を抑制できる可能性が示唆された。
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