2000 Fiscal Year Annual Research Report
臓器移植における再灌流障害発生に関する研究-組織因子の役割とその制御について-
Project/Area Number |
12671168
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
吉村 了勇 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (00191643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 雅彦 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (90295650)
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Keywords | 組織因子(TF) / 虚血再灌流障害 / TFPI / アンチセンス / 臓器移植 |
Research Abstract |
我々は肝臓の虚血再灌流障害におけるTFの関与を報告してきた。即ち、免疫組織化学的に再灌流後は時間経過とともに肥大化したKupffer細胞や血管内皮細胞にTFが強く染色され、同部に一致してフィブリンの沈着、壊死が認められた(Transplantation、1998)。またTFに対する特異的抑制物質(Tissue Factor Pathway Inhibitor、TFPI)のcDNAがクローニングされ、それを基に合成TFPIが使用可能となっているので、ラット肝虚血再灌流モデルにTFPIをin vivo投与したところ、生存率、TFの発現抑制および肝壊死領域の狭小化を認めた。このことは、虚血再灌流後の細胞壊死巣の形成、進展に、TF発現による微小血栓形成および循環不全が強く関与していることを示している。今回の研究では、TFの発現を遺伝子レベルで制御可能か否か、を検討し臓器移植への応用可能かを検討した。TFに対するアンチセンスを合成し、対象としてセンスTF、スクランブルTFも作成、ラット虚血再灌流障害モデルにin vivo投与し(1)アンチセンスの細胞内の局在(2)肝組織の変化(3)生存率を検討した。その結果(1)作成したアンチセンスは有意にラット生存率を向上させた。(2)蛍光色素をラベルアンチセンス投与実験で肝細胞核内での取り込みが確認された。(3)組織学的にも有意に壊死部分の縮少を確かめた。これらことからドナーの側でTFの発現を制御することが可能であれば、臓器移植における新しいGene Engineering法の開発につながる可能性が期待される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 吉村了勇: "臓器移植とチトクロームP450(CYD)-特に免疫抑制薬のCYPを介した薬物相互作用について-"日本移植学会雑誌「移植」. 35号. 49-56 (2000)
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[Publications] MASAHIKO OKAMOTO: "USE OF ALLOCHIMERIC PROTEINS TO MITIGATE GRAFT-VERSUS-HOST AND HOST-VERSUS-GRAFT IMMUNE RESPONSES TO RAT SMALL BOWEL ALLOGRAFTS"TRANSPLANTATION. 7・70. 1060-1067 (2000)