2001 Fiscal Year Annual Research Report
自己拡張型金属ステントと人工血管を利用した新しい門脈血行再建術
Project/Area Number |
12671178
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Research Institution | The Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
中林 幸夫 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (70217818)
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Keywords | 門脈 / 血行再建 / ステント |
Research Abstract |
血管吻合を施行しない新しい門脈血行再建の可能性を求めるために,自己拡張型金属ステントの圧着力で人工血管を門脈に接着させるとともに,血管内腔の保持にもステントを利用する新しい門脈血行再建を検討した.近年行われつつある大動脈瘤に対するステントグラフトでは高圧による血液漏出が問題となっているが,低圧である門脈では接着部の血液漏出は少ないと予想され,腹圧の上昇による人工血管内腔の圧排,狭小化での閉塞はステント自体の拡張力で回避できると予想された.研究目的として1.手技の確立,安全性の確認 2.血流量の確認,人工血管の開存率 3.留置したグラフト,特に門脈-人工血管圧着部の壁構造の病理学的判定を行う予定であった. 血行再建の方法としては門脈切除後,肝側門脈断端と人工血管および腸管側門脈断端と人工血管を各々3点支持による仮固定を行い,自己拡張型金属ステントをイントロデューサーを介し腸間膜静脈より挿入し,切除した腸間側門脈断端に誘導,内腔側から刺出させた後,人工血管内腔を介し,肝側門脈断端に刺出してステントを解放,門脈内腔にステントを圧着させて血行再建を完成させる方法を採用した. 手技の確率を中心に検討を行ったが,人工血管の内腔保持は良好であるが,肝側固定が周囲組織が粗であることからやや不良で,血液漏出が生じる.腹圧の変化等で固定部を中心とした屈曲を生じることで人工血管とステントの間に間隙が生じるためで,解放されたステントと人工血管との間に位置の差が存在する場合に生じる. 人工血管とステントとの適切な位置関係を検討したが,血液漏出の問題を解決できず,安定した手技の確立には至らなかった.
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