2000 Fiscal Year Annual Research Report
ファイブロネクチンを細胞表面に発現する各種癌に対するへパリンの抗腫瘍効果
Project/Area Number |
12671179
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
武山 浩 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (70236511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 祐二 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (30256383)
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Keywords | ヘパリン / アポトーシス / 胃癌 / 乳癌 / 甲状腺癌 / 大腸癌 |
Research Abstract |
【背景・目的・方法】ヘパリンは1980年代にDICを併発した癌患者に大量投与したところ,癌が縮小した症例が存在したことから注目されいくつかの臨床研究がなされた.研究結果はまちまちであったがこのヘパリンによる癌縮小効果は血小板などの凝集抑制作用による癌細胞被包抑制の観点から論じられた. 我々は癌細胞表面に発現しているファイブロネクチン(FN)に二つのヘパリン結合部位が存在することに着目し,FN発現癌細胞ではヘパリンがこの結合部位と反応することにより細胞にシグナルが伝達され抗腫瘍効果が発現するのではないかとの仮説をたてた.この仮説を検証するため平成12年度ではin vitroの実験において 1)FNの発現している癌細胞にヘパリンを濃度依存性に投与することにより細胞を死滅させる効果が発現するか? 2)FNの発現している癌細胞に、FNのヘパリン結合部位に対する抗体(IST-1,IST-2)を投与することにより、ヘパリンを投与を投与した時と同様の効果が発現するか? 3)細胞死誘導されるとしたらその死はアポトーシスなのかネクローシスなのか?に焦点を絞り検討した. 【結果】 1)FN発現細胞では投与したヘパリンの濃度に比例して細胞死が増加して発現した. 2)FN発現細胞では投与した抗体の濃度に比例して同様に細胞死が増加して発現した. 3)その細胞死はDNA Laddering法、Tunel法の結果からアポトーシスであった. 【考察】ヘパリンは多種類の癌で発現しているFNを介して細胞にアポトーシスを誘導し抗腫瘍効果を発現するとこれまでの実験結果より推定される。 次年度はこのアポトーシスの誘導経路、生体におけるヘパリンの癌縮小効果、浸潤,転移抑制効果などを検討予定である。
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