2000 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞の血中遊離過程におけるインテグリンおよびD4GDIの機能の分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
12671182
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
太田 隆英 金沢医科大学, 医学部, 講師 (10152141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 雅代 金沢医科大学, 医学部, 助手 (30199632)
達家 雅明 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (50216991)
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Keywords | がん転移 / がん細胞の血中遊離 / インテグリン / 転移モデル / Lew is lung carcinoma (3LL) / 接着分子 |
Research Abstract |
癌細胞の血中への遊離は血行性転移に必須の過程である。しかし適当な実験系がないために実験的解析がなされることが少なく、その分子機構はほとんど明らかにされていない。これを明らかにするため、マウス肺癌細胞3LLを皮下移植し、血中に遊離してきた癌細胞を分離し再び皮下移植するというin vivo選択を繰り返すことにより血中遊離能が増強した細胞株(Int-3LL)を得た。この血中遊離能の高い癌細胞株の細胞株の転移能、接着能、移動能、浸潤能、接着分子の発現を親株と比較し、さらに、接着、移動における接着分子の機能的な違いを細胞株間で比較検討した。 血中遊離能が増強したInt-3LLは親株と較べて、実験転移能、自然転移能ともに低下していた。ECM接着性は低下し基質上での進展性も著しく低下していた。細胞移動能自体に変化はなかったが、浸潤性の移動能が増強していた。接着分子の発現に差はなく、両細胞はともE-、P-cadherin、ICAM-1、NCAM、LFA-1、インテグリンα4、β3、を発現しておらず、インテグリンα3A、α6A、α6B、β1A、β4Aを同程度に発現していた。インテグリンに対する機能修飾抗体による解析から、Int-3LLではβ4依存性の移動能は保持されているが、lamininやfibronectinに対するβ4依存性の接着能が失われていることがわかった。 これらの結果から、3LL細胞において原発巣からの離脱、血管内への侵入にはインテグリンβ4を介した接着性の低下が関わっていることが示唆された。このような接着分子の機能制御にD4GDIが関与するかどうか、さらに検討を進めている。
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[Publications] Ota,T.: "Functional suppression of integrin β4-mediated adhesion caused by in vivo sequential selection for cancer cell intravasation."Anticancer Research. (印刷中). (2001)
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[Publications] 太田隆英: "癌細胞の血中遊離過程におけるインテグリンの役割"金沢医科大学総合医学研究所年報. 11. 105-116 (2000)
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[Publications] 前田雅代: "Green Fluorescent Protein標識T-lymphoma細胞を用いた血中遊離がん細胞の分離定量"Cytometry Research. (印刷中). (2000)
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[Publications] Kawai,H.: "Molecular cloning of mouse thioredoxin reductase."Gene. 242. 321-330 (2000)