2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12671187
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
紅林 淳一 川崎医科大学, 医学部, 講師 (10248255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 剛巳 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (40160551)
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Keywords | 乳癌 / ホルモン療法耐性 / 低酸素環境 / ER / HIF-1α / VEGF / PgR / 細胞株 |
Research Abstract |
我々はこれまでに、乳癌のホルモン療法耐性獲得のメカニズムとして、「乳癌細胞における血管新生因子(FGF,VEGF)発現亢進の重要性」を示してきた(論文となった)。しかし、この現象を説明するには、血管新生因子発現亢進を引き起こす上流の因子が必要である。最近になり、腫瘍組織内で恒常的にみられる低酸素環境が、癌細胞の悪性形質進展の引き金になることが示されている。そこで、「低酸素環境が乳癌細胞のホルモン感受性消失(ホルモン療法耐性)を引き起こす」との仮説を立て、以下の実験を行った。まず、乳癌細胞を低酸素環境下に置き、1)ER-α、hypoxia-inducible factor(HIF)-1α、VEGF、PgR発現、2)エストロゲンによる増殖促進、PgR誘導効果、3)ホルモン療法剤(抗エストロゲン剤、黄体ホルモン剤)に対する増殖抑制効果に与える影響を検討した。その結果、低酸素環境が、1)乳癌細胞のER-α発現及び機能を時間依存性に低下させること、2)エストロゲンやホルモン療法剤への増殖反応性を抑制することが示され、仮説の妥当性が証明された。さらに、in vivoにおける検討として、乳癌組織を用い低酸素のマーカーであるHIF-1αの発現とER-α発現の関係を免疫組織化学的に検討した。その結果、両者の発現は有意の逆相関を示すことが明らかとなった。以上の結果をまとめ論文を投稿中である。今後、低酸素環境下における細胞周期やアポトーシス関連因子発現の変化、ER-α発現抑制のメカニズムを検討する予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 紅林淳一: "低酸素環境下における乳癌のホルモン感受性低下に関する基礎的研究"乳癌基礎研究. 10(in Press). (2001)
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[Publications] Kurebayashi,J.: "Biological and clinical significance of HER2 overexpression in breast cancer"Breast Cancer. 8(1). 45-51 (2001)
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[Publications] Kurebayashi,J.: "Regulation of interleukin-6secretion from breast cancer cells and its clinical implication"Breast Cancer. 7(2). 124-129 (2000)
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[Publications] Kurebayashi,J.: "Paradoxical hormone-responses of KPL-1 breast cancer cells in vivo : a significant role of angiogenesis in tumor growth"Oncology. 59(2). 158-165 (2000)
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[Publications] Kurebayashi,J.: "Endocrine therapies for patients with recurrent breast cancer : predictive factors for responses to first-and second-line endocrine therapies"Oncology. 59(Suppl1). 31-37 (2000)
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[Publications] 紅林淳一: "乳癌細胞株におけるER-α、ER-β、転写共役因子の発現とホルモン感受性"乳癌基礎研究. 9. 15-19 (2000)
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[Publications] 紅林淳一: "非浸潤性乳管癌の生物学的悪性度:血管新生、VEGF発現との関連.非浸潤性乳管癌の基礎と臨床"篠原出版新社(in Press). (2001)