2002 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌に対する5-FU系抗癌剤の効果予測に立脚した術後補助化学療法の研究
Project/Area Number |
12671199
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鍋谷 圭宏 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (40322028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 英昭 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (20292691)
軍司 祥雄 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (60241957)
落合 武徳 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80114255)
松原 久裕 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (20282486)
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Keywords | 5-FU / 薬剤感受性 / p53 / Thymidylate synthase (TS) / TS阻害率 / Dihydropyrimidine dehydrogenase (DPD) / Thymidine phosphorylase (TP) / mRNA |
Research Abstract |
【目的と方法】5-FUの代謝酵素であるThymidylate synthase (TS), Dihydropyrimidine dehydrogenase (DPD), Thymidine phosphorylase (TP)の酵素活性が5-FU投与により変化して感受性に影響を与えると仮定し、p53 statusの異なる3つの胃癌細胞(p53野生株のMKN-45、p53変異株のMKN-74、p53変異株のMKN-28)を用いて、以下を検討した。(1)各細胞の5-FUの増殖抑制効果。(2)5μMの5-FUに24時間接触後5-FUなしで培養し、接触終了時、接触終了後24、72時間後のTS, DPD, TP活性値。(3)5μMの5-FUに持続接触させ、接触開始後24、48、72、96時間後のTS, DPD, TP活性値。【結果】(1)p53野生株のMKN-45はp53変異株のMKN-74、MKN-28より5-FU高感受性であった。(2)MKN-45では、DPDとTPは常に持続低値であった。TS totalは5-FU投与24時間後に約3倍に上昇し、その後は5-FU接触の有無に拘わらず持続高値であった。しかし、TS阻害率は持続的に約50%と高く、DPD低値と相まって比較的高感受性に関与すると思われた。(3)MKN-74では、常にTPは極めて低値かつDPDも低値を持続した。TS totalは5-FU接触によりわずかに上昇したがTS阻害率は極めて低く、比較的低感受性に関与すると思われた。(4)MKN-28では、5-FU接触時間に拘わらずDPDとTPは持続的に最も高値であった。もともと低値のTS totalは5-FU投与24時間後に約2倍に上昇し、その後も5-FU接触の有無に拘わらず持続高値でTS阻害率は約50%と高かったが、DPD高値が比較的低感受性に関与すると思われた。【考察】胃癌細胞においては、5-FU接触前後のTSとDPDの活性の変化が感受性や長期投与時の耐性に関与する可能性がある。従って、薬剤投与前後の組織中酵素活性を検討することで、より正確に5-FUの効果が予測し得る。そこで現在は、より少量の組織での検討の可能性とメカニズムの解明のために、各酵素のmRNAの推移を検討している。
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