2000 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性腸疾患における粘膜固有層内リンパ球の細胞障害活性の検討-新しい選択的免疫療法の開発に向けて-
Project/Area Number |
12671217
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
仁田 豊生 岐阜大学, 医学部・附属病院, 助手 (70313905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広瀬 一 岐阜大学, 医学部, 教授 (20101272)
岩田 尚 岐阜大学, 医学部・附属病院, 講師 (90303495)
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Keywords | 炎症性腸疾患 / TNBS腸炎 / 細胞障害活性 / T細胞レセプター / Vβレパートリー |
Research Abstract |
【目的】クローン病類似のマウスTNBS誘導性腸炎の粘膜固有層内において,腸炎の活動期に特異的に増加してくるT細胞受容体(TCR)Vβ14陽性CD8^+T細胞の機能解析を行った。【方法】TNBS誘導性腸炎の作成;C3H/He(C3H)マウスに50%エタノールに溶解したTNBS0.3mg/g(0.1ml)を注腸し腸炎を作成した。フローサイトメトリーを用いて大腸粘膜固有層リンパ球のTCRVβレパートリーを検討した.TNBS反応性T細胞クローンの樹立;TNBSで免疫したC3Hマウスのリンパ節細胞を反応細胞とし,TNBS修飾C3Hマウス脾細胞で反復刺激を行いT細胞株を樹立した。このT細胞株から限界希釈法を用いてTNBS反応性T細胞クローンを樹立した。^<51>Cr遊離試験;クローンをエフェクター細胞とし,TNBS修飾C3Hマウス脾細胞を標的細胞として^<51>Cr遊離試験を行った。【結果】1,TNBS注腸投与によってマウスは,注腸5日目に炎症のpeakを持つ腸炎を発症した。2,粘膜固有層内に浸潤するT細胞のTCR usageを検討したところ,Vβ14陽性CD8^+T細胞の割合が炎症のpeakに一致して特異的に増加していた。3,樹立したクローン33株はすべてCD8^+T細胞であり,それらのTCRusageはTCRVβ14であった。4,このクローンのTNBS修飾C3Hマウス脾細胞に対する特異的な細胞傷害活性は十分に検出され,抗TCRVβ14モノクローナル抗体の存在下にこの細胞障害活性は抑制された。【まとめ】TNBS誘導性腸炎マウス粘膜固有層内で増殖するCD8^+TCRVβ14陽性T細胞は,TNBS-自己MHC拘束性を持つ細胞障害性T細胞と考えられ,腸炎の活動期に関与している可能性が示唆された。なお,上記の知見に関しては,2000年42回消化器病学会大会(10/27,神戸)第30回日本免疫学会総会(11/15,仙台)で発表した.
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