2000 Fiscal Year Annual Research Report
肝切除後エンドトキシン誘発肝障害の病態におけるインターロイキン10の関与
Project/Area Number |
12671218
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
中村 利夫 浜松医科大学, 医学部, 助手 (40283353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 達 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00090027)
鈴木 昌八 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (20196827)
横井 佳博 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (80313956)
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Keywords | 肝切除 / Kupffer細胞 / IL-10 / TNF-α / Gadolinium chloride / エンドトキシン / 脾臓 / 抗炎症性サイトカイン |
Research Abstract |
本研究では、肝切除後のエンドトキシン誘発性肝障害の病態における炎症性サイトカインであるTNF-αと抗炎症性サイトカインIL-10の動態と産生調節におけるKupffer細胞と脾臓の役割について調べた. 【方法】Wister雄性ラットに肝切除後2日間Kupffer細胞機能を抑制するためgadolinium chloride(GdCl3,7mg/kg)を投与し、LPSを投与したHEG群、肝切除と同時に脾摘を行った後にGdCl3とLPSを投与したHEGS群と比較した.各々にコントロール群(S群)をおいた.24時間後生存率の検討とLPS投与前、投与後1,4時間後の血漿GOT,GPT値と、IL-10、TNF-α値(ELISA法)を測定した. 【結果】1)肝切除+LPS投与コントロール群における生存率は15%であったが、GdCl3前処置により80%へ改善した.GdCl3前処置および脾摘群では生存率67%と脾摘により有意差はなかった.2)LPS投与後1時間目の血漿TNF-α値はHE群では著明に上昇したが、HEG群とHEGS群では有意にその増加が抑えられた.3)1時間目の血漿IL-10値はTNF-αとは異なりGdCl3投与群で有意に高値であった.4)肝組織中のIL-10、TNF-αmRNA発現は抑制されていたが、肺、脾組織中に発現を認めた.5)肝切除のみ群では、LPS投与後4時間で肝、脾、腸管に広範な出血壊死がみられた.一方、GdCl3前処置によりこれらの組織学的障害は著明に軽減した. 【結語】肝切除術後のエンドトキシン血症では、抗炎症性サイトカインに比して炎症性サイトカイン有意であった.本病態の肝障害進展防止には、Kupffer細胞と脾臓による炎症性・抗炎症性サイトカインの産生調節が重要であると考えられた.
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