2000 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカインによるNF-kB活性化制御とアポトーシスの誘導
Project/Area Number |
12671228
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
羽井佐 実 岡山大学, 医学部, 助手 (70322229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 紀章 岡山大学, 医学部, 教授 (10127566)
猶本 良夫 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (00237190)
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Keywords | アポトーシス / NF-kB / サイトカインクロストーク / TNF-α |
Research Abstract |
TNF-αとIFN-αに感受性のあるヒト大腸癌細胞株RPMI4788において、TNF-αとIFN-αの併用というサイトカインクロストークによりアポトーシスが増強するメカニズムを解析した。 抗NF-kB抗体を用いた免疫組織染色によるNF-kBの核内移行を、TNF-α単独、IFN-α単独、及び両者併用群において検討したところ、意外にもTNF-αとIFN-αの併用により、最も強くNF-kBが核内移行していることが分かった。また、同様のサイトカインにて刺激した後、核蛋白質を抽出し、NF-kBに対するターゲット・オリゴを用いたElectrophoretic Mobility Shift Assey(EMSA)によるNF-kB活性化の検討をおこなったところ、TNF-αとIFN-αの併用により、最も強くNF-kBが活性化されていることが分かった。TNF-αによるNF-kBの活性化はアポトーシスに対し抑制的と言われているが、我々の研究では、NF-kBの活性化とアポトーシスの増強が同じ刺激(併用刺激)で見られるという新しい知見が得られた。 このNF-kBの活性化が、実際、アポトーシスに対しどのように作用しているのか検討するため、NF-kBのDNA結合部位と同じ配列を持つ短い核酸を合成し、デコイ(おとり)型核酸医薬としてHVJ-liposome法にてRPMI4788細胞に導入し、NF-kBの活性化を抑制した。サイトカイン刺激後の変化を検討したところ、TNF-α単独刺激では、NF-kB活性化抑制によりアポトーシスが増強、すなわちNF-kBはanti-apoptoticに働いていたが、TNF-αとIFN-αの併用刺激では、NF-kB活性化抑制によりアポトーシスが減弱、すなわちNF-kBはpro-apoptoticに働いていることが示された。つまり、TNF-α刺激ではanti-apoptoticに働いていたNF-kBが、IFN-αとの併用というサイトカインクロストークにより全く逆のpro-apoptoticな方向に転じるという新しい知見が得られた。さらに、このアポトーシスの増強にFas/FasLのシステムが関与していることが見出された。 現在、IFN-αがNF-kBの活性化を増強する経路について、解析をすすめている。
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