2001 Fiscal Year Annual Research Report
樹状細胞の腫瘍内局注による特異的免疫療法の基礎研究
Project/Area Number |
12671272
|
Research Institution | Tokyo Women 's Medical University |
Principal Investigator |
羽鳥 隆 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (50208550)
|
Keywords | 樹状細胞 / 免疫療法 |
Research Abstract |
Balb/cマウス皮下に同系乳癌腫瘍MT-901を皮下接種し増殖させた後に、同腫瘍内に樹状細胞を局注することにより腫瘍の増大が有意に抑制された。この腫瘍内樹状細胞局注による抗腫瘍効果は、同系の樹状細胞の局注では認められたが、異系のC57BL/6マウスの骨髄由来樹状細胞では認められずMHCに拘束された免疫応答であった。また、樹状細胞のかわりに脾細胞を局注しても効果は認められなかった。あらかじめCD4陽性もしくはCD8陽性T細胞を除去したマウスを用いた実験では、CD8陽性T細胞除去マウスでは樹状細胞局注療法の抗腫瘍効果が認められず、CD4陽性T細胞除去マウスではコントロールマウス群と同程度の腫瘍増殖抑制効果が認められた。これより、樹状細胞局注による腫瘍増殖抑制効果には生体内のCD8陽性T細胞が重要な働きを担っていることが示された。樹状細胞の特異的免疫励起作用はヘルパー抗原であるKLHの添加で増強されることが報告されているが、腫瘍内樹状細胞局注療法においても同様に、樹状細胞を局注前にKLHにてover nightでパルスすることによって有意に腫瘍増殖抑制効果の増強を認め、腫瘍の完全退縮が確認された。さらに樹状細胞を局注後、リコンビナントマウスIL-2を4日間連続で腹腔内投与したマウスでは有意に腫瘍増殖抑制効果が増強し、腫瘍の完全退縮が確認された。これらの免疫応答が認められたマウスの脾細胞を摘出し、in vitroにて抗CD3抗体とIL-2にて1週間活性化した脾臓リンパ球は接種腫瘍特異的IFNγ及びGM-CSF産生の増強を示し、同腫瘍の肺転移を有意に抑制した。以上の基礎結果より、KLHをパルスした樹状細胞を腫瘍内に局注しその後4日間IL-2の全身投与を併用する方法が、最も有効に抗腫瘍効果を誘導可能であると考えられ、新しい免疫細胞治療として臨床研究を計画立案し、実施をすすめている。現在まで重篤な副作用を認めず、腫瘍マーカーの減少及び腫瘍縮小効果を確認しており、さらなる研究の進展が期待される。
|