2001 Fiscal Year Annual Research Report
ミスマッチ修復欠損大腸癌の化学療法確立の基礎的検討:DNA損傷特異性と薬剤感受性
Project/Area Number |
12671273
|
Research Institution | TOHO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
船橋 公彦 東邦大学, 医学部, 講師 (90297698)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有田 通恒 東邦大学, 医学部, 助手 (80307719)
逸見 仁道 東邦大学, 医学部, 助教授 (90165514)
|
Keywords | ミスマッチ修復遺伝子 / hMLH1遺伝子 / 大腸癌 / 薬剤耐性 / 化学療法剤 / 細胞株 |
Research Abstract |
消化器癌、特に大腸癌の発癌機構には多くのがん遺伝子やがん抑制遺伝子の異常の累積が重要な役割を演じている。遺伝子異常の蓄積を誘発する機構の1つとしてDNA mismatch repair(MMR)systemの欠損が知られており、ヒトMMR遺伝子はこれまでにhMLH1やhMSH2など7種が報告されている。また、MMR欠損細胞はシスプラチン(CDDP)などの化学療法剤にLow levelの抵抗性を示すことが知られている。しかしながら、大腸癌の化学療法に用いられる多くの抗癌剤に対するMMR欠損腫瘍の感受性並びに化学療法後のMMR欠損腫瘍の出現頻度やどのような化学療法剤によって誘起されるのかは不明である。そこで、本年度は昨年度に引き続きMMR欠損細胞の抗癌剤感受性とMMRの生理学的意義の解明を中心に以下の検討を行った。 1)MMR欠損細胞の薬剤感受性 ヒト大腸癌由来細胞株HCT116およびHCT116+ch3とLoVoおよびLoVo+ch2を用いたクロノジェニックアッセイを行い、大腸癌に多用される抗癌剤の細胞毒性を比較した。その結果、topotecanに対するMMR欠損細胞と非欠損細胞の感受性に差は見られず、また、gemicitabineは欠損細胞に強い細胞毒性を示した。これらの結果から、両薬剤ともにMMR欠損癌細胞の化学療法に有効であることが示唆された。 2)高感受性の作用機作 MMR欠損細胞がある種の抗癌薬に高感受性を示す理由を明らかにするためにaphidicolinやhydroxyurea等を用いて解析を行ったところ、MMRは細胞周期のDNA replication completion checkpointに深く関与していることを強く示唆する結果を得た。 3)薬剤の迅速なスクリーニング系の開発 感受性試験の迅速化を図るため、大腸菌を用いた測定法の確立を行い、現在、薬剤の種類を増やして、その評価を行っている。 4)臨床検体におけるMMR蛋白の有無の検討 大腸癌患者の腫瘍組織の免疫組織化学染色を行い、現在までに数例の非染色検体を見いだしているが、全て、初発例であった。再発症例については、今後の検討課題となった。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 船橋公彦: "早期大腸癌に対する内視鏡的治療"外科治療. 84・2. 142-145 (2001)
-
[Publications] Zhong X.: "A single nucleotide polymorphism in the promoter regin of the hMLH1 gene : Effect on transcriptional activity and application for a marker of detecting allelic loss"J Med Soc Toho. 48・2. 114-124 (2001)
-
[Publications] Miyafuji Y.: "Growth inhibition due to complementation of transforming growth factor-β receptor type II-defect by human chromosome 3 transfer in human colorectal carcinoma cells"J Cell Physiol. 187・3. 356-364 (2001)
-
[Publications] Guo RJ.: "Microsatellite instability of papillary subtype of human gastric adenocarcinoma and hMLH1 promoter hypermethylation in the surrounding mucosa"Pathol Int.. 51・4. 240-247 (2001)
-
[Publications] Watanabe Y.: "A change in microsatellite instability caused by cisplatin-based chemotherapy of ovarian cancer"Brit J Cancer.. 85・7. 1064-1069 (2001)
-
[Publications] Iwasaki I.: "Establishment of cisplatin-resistant variants of human neuroblastoma cell lines, TGW and GOTO, and their drug cross-resistance profiles"Cancer Chemother Pharmacol.. (in press). (2001)