2000 Fiscal Year Annual Research Report
代償性肥大心筋の不全心発生機序とOxidative Stress
Project/Area Number |
12671290
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
竹内 功 弘前大学, 医学部, 助手 (10302027)
|
Keywords | 肥大心筋 / 不全心 / グルコース代謝 / Oxidative Stress / アポトーシス |
Research Abstract |
圧負荷肥大心筋モデルの作成(動物モデルと培養心筋細胞モデル) 生後3週目のラットにペントバルビタール腹腔内投与麻酔の後腎動脈直上の下行大動脈に拘扼を施し成長に伴って圧負荷肥大心の形成を促す。計50例程にこの操作を行い拘扼後16週と26週目に心臓を摘出しラングンドルフ灌流下に心機能の測定およびELISA法による心筋細胞アポトーシスの検出、ERKタンパクの測定用に心筋を採取した。 生後2-3週目のラット心を用いてランゲンドルフ灌流下にCollagenaseを投与し心筋細胞を分離・培養を試みた。当初操作によるContaminationにより十分な細胞の発育が得られず、抗生剤・抗真菌剤の投与、培養液の交換など多くの事を試みたが結果としては2-3週の心筋細胞の培養はかなり困難であることが分かった。その後H9C2を用いてIsoproterenol刺激を試みGlucose,Lactateの測定、ERK活性の測定などを行っている。その一方で生後1-2日の未熟心筋を用いての心筋細胞培養を検討中である。 結果:動物モデル;1)心機能;左室内に挿入したバルーン容量の変化から圧-容量曲線を作成し左室のコンプライアンスあるいは収縮能について検討した。16週モデルでは体重に対する左室容量の比から十分な肥大が形成されていることが分かったが、心筋拡張能に変化を来たしていた。しかし心筋の収縮能には変化が見られなかった。2)エネルギー代謝;心筋エネルギー消費量に対する心筋仕事量は低下しておらず、肥大心筋の代償期もしくは非代償期のごく早期に相当するものと考えられた。26週に至っては心収縮機能も低下し、エネルギー消費に対する心筋仕事量も低下し紛れもない肥大心非代償期中〜後期と考えられた。3)圧負荷肥大心のERK蛋白発現:圧負荷肥大心では、対照群と比べ、16週・26週共に蛋白量の有意な低下を認めた。 培養心筋モデル;1)グルコース・乳酸:Isoproterenol刺檄3日目では、グルニース消費は増加し、乳酸の生成も有意に低下していて、有効な好気的解糖系の亢進が伺える。しかしIsoproterenol、刺激7日目では、グルコースの消費は低下する一方で乳酸の産生は増加していて、嫌気下解糖へ移行していた。刺激10日目では、グルコース消費・乳酸産生とも低下していて、グルコース代謝が不全状態にあると考えられた。2)Apoptosis誘導後に生じるヒストン結合monoおよびoligonucleosomeをサンドイッチELISA法にて定量した。Isoproterenol刺激によりDNA Fragmentは刺激5日目から増加を認めた。3)培養肥大心筋細胞のERK蛋白発現:培養肥大心筋細胞でも、刺激と共に蛋白発現の有意な低下を認めたが、刺激10日目にはほぼ対照群と同様レベルの蛋白量となった。 現時点では過酸化水素H_2O_2測定が今一つ確実なものとなっておらず検討が必要である。
|
Research Products
(1 results)