2001 Fiscal Year Annual Research Report
代償性肥大心筋の不全心発生機序とOxidative Stress
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12671290
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
対馬 敬夫 弘前大学, 医学部, 講師 (70236876)
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Keywords | 肥大心筋 / 不全心 / グルコース代謝 / Oxidative Stress / アポトーシス |
Research Abstract |
本年度は昨年度の結果を踏まえ追加実験を行っている。血行動態・エネルギー代謝あるいはアポトーシスとERKsタンパクの発現との関連については十分な確証を得ている。16週モデルは拡張能が変化する非代償期の初期と考えられるが、この頃既にERKsタンパクは低下し心筋細胞のアポトーシスが有意に増加していた。この傾向は26週まで続きERKsタンパクは更に低下しアポトーシス+ネクローシス(細胞壊死)が増大していた。昨年本実験の問題点がHydeogen Peroxideの検出方法にあることを報告したが、やはり現時点でも信頼性のある測定方法は確立されていない。そこで本年度は測定方法を変えElectron Spin Resonance法による直接的なOxygen Free Radicalの検出あるいは免疫生化学法(Western Immunoblot)により3-nitrotyrosine(peroxynitriteのMarker),protein carbonyls(hydroxyl radical由来)の検出を試みるべく再び大動脈拘扼モデルを作成し、適宜心筋を採取しているところである。測定方法についての手技的問題はない。 結果: 1)心機能・エネルギー代謝に関しては昨年報告した通りである。16週では心筋エネルギー消費量に対する心筋仕事量は低下しておらず、肥大心筋の代償期もしくは非代償期のごく早期に相当するものと考えられた。26週に至っては心収縮機能も低下し、エネルギー消費に対する心筋仕事量も低下し紛れもない肥大心非代償期中〜後期と考えられた。現在この時期のFree Radicalの検出を試みているところである。 2)圧負荷肥大心のERK蛋白発現:圧負荷肥大心では、対照群と比べ、16週・26週共に蛋白量の有意な低下を認めた。またELISA法で検出したアポトーシス細胞も増加していた。 3)Isoproterenol刺激培養細胞でのグルコース・乳酸生成;3日目では、有効な好気的解糖系の亢進が伺えるが、Isoproterenol刺激7日目では、嫌気下解糖へ移行していた。刺激10日目では、グルコース代謝が不全状態にあると考えられた。 4)アポトーシス誘導後に生じるヒストン結合monoおよびoligonucleosomeをサンドイッチELISA法にて定量した。Isoproterenol刺激5日目からDNA fragmentは増加した(アポトーシスの増加)。 5)培養肥大心筋細胞のERK蛋白発現:Isoproterenol刺激による一過性のERKsタンパク発現の低下が見られた。この一過性の低下がアポトーシスのトリガーになっていることが予想される。
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