2001 Fiscal Year Annual Research Report
Platelet-derived endothelial growth factorのcDNAを用いた虚血心筋の血管新生の遺伝子治療
Project/Area Number |
12671303
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Research Institution | Fukui Medical University |
Principal Investigator |
千葉 幸夫 福井医科大学, 医学部, 助教授 (30111959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 哲也 福井医科大学, 医学部, 助手 (50195369)
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Keywords | PD-ECGF / dThdPase / 遺伝子治療 / 慢性虚血心筋 / 血管新生 |
Research Abstract |
人のPD-ECGF/dThdPaseのcDNAをpBluescript SKII+/TP(Agift from Roche, Japan)から、EcoRIサイトにて切り出し、哺乳類発現ベクターpCI(Promega, Madison, WI)に挿入した。動物に導入用のプラスミド(pCIhTP)は大腸菌の中で増殖させ、endotoxin-free plasmid extraction Giga kilを用いて大量精製した。14匹のHBD犬を無菌の状態下で左開胸して、心臓を露出、左前下降枝(LAD)の起始部でLADを剥離して、Ameroid Constrictor(Research Instruments SW, Escondido CA)をかけて、慢性虚血心筋モデルを作成した。3週間後、犬を再開胸、心臓を露出し、虚血領域と正常心筋の境界部にpCIhTPベクター3.5mgを2mlの生理食塩水に溶解したものを、27ゲージ注射針を用いて直接心筋に0.5mlずつ4カ所を注入した。コントロール群は等量の空ベクター(pCI)を注射した。2週間後、左頸動脈から左心室までカテーテルを入れてdp/dtを測定し、同時に大腿動脈カテーテルから血圧を測定した。その後犬を犠牲死させ、心臓を摘出した。LAD領域、Lcx領域、及び肝臓、肺からサンプルを採集した。組織検査用の心臓標本はホルマリンで固定した。PCR、RT-PCRおよびwestern-blot法によって人PD-ECGF/dThdPaseの発現を検討した。免疫組織化学染色によって血管新生及びapoptosisを評価した。 結果:三回の術中所見では心外膜側の心筋梗塞は両群とも無かった。犬を犠牲後、コントロール群では心内膜側に梗塞巣がはっきり分かるが、pD-ECGF/TP遺伝子治療した犬では梗塞巣が無かった。遺伝子注射によって人のPD-ECGF/TPのmRNAと蛋白質は犬の心筋にて高発現し、それに活性があることは確認された。H&E染色によって、遺伝子治療を受けた犬の心筋の形態がほぼ正常であり、僅かの散在の顕微鏡レベルの小さな梗塞巣を認めた。コントロール群では心筋が瘢痕化し、肉芽組織で占められていた。PD-ECGF/TP注射によって慢性虚血心筋の血管新生は著明に発達した。その上、max dp/dtはコントロール犬の約2倍であり、心機能が有意に改善されている。遺伝子治療犬ではapoptosisに陥った心筋細胞数も有意に低下した。 結論:犬の慢性虚血心筋モデルにおいて、心筋局所にPD-ECGF/dThdPase遺伝子注射によって、血管新生が促進されただけではなく、心筋梗塞を予防すること、心機能を改善すること、そしてapoptosisを抑制することが明らかになった。
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