2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12671317
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
森下 清文 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10264532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 弦 札幌医科大学, 医学部, 教授 (30157747)
安倍 十三夫 札幌医科大学, 医学部, 教授 (00094194)
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Keywords | 大動脈瘤 / 胸腰部肋間動脈 / Adamkiewicz動脈 / 前脊髄動脈 / 病理学的研究 / 抗α-smooth muscle actin / 免疫染色 |
Research Abstract |
胸腹部大動脈瘤手術後の対麻痺の発症には、脊髄の栄養血管である胸腰部肋間動脈およびAdamkiewicz動脈が関与しており、詳細な解剖学的研究が行われてきているが、大動脈瘤症例におけるそれらの動脈の組織学的・病理学的な研究は少ない。われわれは大動脈瘤を伴った実習用解剖体から、胸腰部肋間動脈、Adamkiewicz動脈、前脊髄動脈を摘出し、組織学的な変化に注目して病理学的研究を行っている。標本は、国内の解剖学実習施設(北海道医療大学、新潟大学、群馬大学、秋田大学、広島大学、近畿大学、琉球大学、本大学)で採取した。そのうち外科的に人工血管置換術の適応があるものは4例であった。H-E染色およびElastica-van-Gieson染色後、光学顕微鏡で観察した。他に、コントロール群として、10例の非大動脈瘤合併症例より標本を摘出し、同様に観察した。大動脈瘤症例は全て80歳以上で、動脈硬化性変化による大動脈瘤を伴っていた。 肋間動脈の内膜の軽度肥厚は、大動脈群、コントロール群ともに認められたが、Adamkiewicz動脈における内膜の軽度肥厚や内弾性板の変形は、大動脈群の一部に認めた。前脊髄動脈の内膜肥厚の頻度は高齢者においても一般的に極めて低く、大動脈瘤症例ではAdamkiewicz動脈・前脊髄動脈への動脈硬化の伸展が有意に生じている可能性がある。またわれわれは、抗α-smooth muscle actinによる免疫染色を行い、平滑筋の内膜への移行の有無について検討を進めているところである。 今後,他にも様々な組織学的・免疫学的検討を加えていく予定であるが、動脈瘤を伴った実習用解剖体が極めて少ないため、多くの症例を収集するには困難を極めることが予想される。
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