2000 Fiscal Year Annual Research Report
動脈グラフトにおける吻合部狭窄とグラフト体部における内膜増殖との関連に関する検討
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12671336
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| Research Institution | Kansai Medical University |
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Principal Investigator |
大迫 茂登彦 関西医科大学, 医学部, 助手 (90223784)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 肇 関西医科大学, 医学部, 講師 (60168979)
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| Keywords | 新生内膜増殖 / 吻合部狭窄 / 自家動脈グラフト / 剪断応力 / 内皮細胞機 |
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| Research Abstract |
<目的>小口径グラフト移植後に生じる新生内膜増殖は,急性期には血管内腔を狭窄させ臓器虚血や血栓閉塞の原因となり,慢性期には動脈硬化を促進しグラフトの寿命に影響を及ぼすことになる.我々は,新生内膜増殖の機序として,宿主血管とグラフトとの著しい径の違いやグラフト狭窄等による血流速の低下が剪断応力を減少させ,その結果内皮細胞機能に変調を来たしそれを代償するリモデリング現象として内膜増殖を惹起するという仮説に着目し,ラットの同種同系動脈移植モデルを用いてグラフト狭窄が新生内膜増殖に及ぼす影響について検討した.
<方法>LEWIS:RT11ラットを用いてdonorの胸部大動脈をrecipientの腹部大動脈に同種同系移植し,血管吻合部径がグラフト径に対して75%となるように中枢側吻合部に絞扼術を追加したS群と,追加しなかったN群を作成した.移植時に超音波流量計により測定したグラフト体部の血流量から血流速(剪断速度)を計算し,グラフト体部に加わる剪断応力を算出した.移植後14日日目(S/N群:n=7/6),30日日目(S/N群:n=9/6)に犠牲死させ,グラフト体部の構築を病理組織学的に評価し,内膜と中膜の面積比:内膜/中膜×100(%)を算出して内膜増殖の程度を比較検討した.またグラフト体部の内膜の性状を走渣電顕により観察するとともに,一酸化窒素(NO)合成酵素に対する抗体(NOS3)を用いて免疫組織学的染色を行った.
<結果>グラフト体部と中枢側宿主血管における剪断応力の差はS群で1.19±0.27N/m2,N群で0.57±0.02N/m2とS群で有意(p<0.05)に剪断応力の減少を認めた.内膜と中膜の面積比は移植後14日目S群4.0±1.1%,N群0.9±0.1%,30日目S群48.3±6.7%,N群3.4±1.8%と,いずれもS群で内膜増殖が有意(p<0.05に高度であり,増殖の程度は狭窄部の程度(断面積)に対して有意に負の相関関係を示した(14日目:p=0.0189,30日目:p=0.002).内膜性状について,S群では内皮細胞の脱落を認めたが,N群では内皮細胞の被覆が認められた.またNOS3による染色ではN群でのみ14日目と30日目で陽性であった.
<考案>動脈グラフト移植後新生内膜増殖について,グラフト狭窄による剪断応力の低下は新生内膜の増殖を促すことが示唆された.またその機序としてNO合成酵素を主体とした内皮細胞機能の変調が関与することが示唆された.
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