2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12671340
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坪井 康次 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (90188615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 興一 放射線医学総合研究所, グループリーダー (00159526)
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Keywords | 重粒子線 / 膠芽腫 / 放射線感受性 |
Research Abstract |
本研究では、膠芽腫細胞に対する重粒子線の治療効果を高めるために、重粒子線照射後の細胞に起きるG2-blockを抑制する作用を持つと考えられるpentoxifyllineの効果を明らかにするとともに、DNA修復関連酵素であるDNA-PKの抑制物質であるwortmanninの重粒子感受性に及ぼす効果を明らかにすることを目指している。 平成12度においては、各種細胞にガンマ線と炭素線の照射を行い、経時的に蛋白を抽出してDNA-PKの発現をウェスタンブロットにて解析した。また同様に照射前後の細胞を経時的に固定し、flow-cytometer(FACS Sort)で細胞周期の解析を行った。またpentoxifyllineとwortmanninを培地に添加しその影響を同様の方法で検討した。その結果、ガンマ線照射後にはDNA-PKの発現は変化なかったが、炭素線照射では特に高いLETになるとその発現は低下する傾向を示した。これは正常のp53においても見られた現象であり、高LET粒子線照射によりDNA修復にかかわる酵素の発現が抑制されることは、細胞の高LET粒子線照射に対する放射線感受性が上昇する原因の1つであると推察される。また、照射後のG2-blockを抑制して放射線感受性を上げると予想されたpentoxifyllineは、0.25mM〜1mMの濃度では照射後のG2-blockを抑制する効果は認められず、細胞死を示すsub-G0,G1のfractionも増加しなかった。一方、DNA-PKの修復作用を抑制するwortmanninはむしろ明らかなG2-block抑制作用を示したが、そのメカニズムは現時点では不明である。次年度にはpentoxifyllineとwortmanninが、コロニー形成法による細胞の放射線感受性の変化に及ぼす影響をを検討し、各種放射線に対する増感作用を明らかにする予定である。
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[Publications] 盛武敬,坪井康次: "ESRを用いたヒト膠芽腫培養細胞の抗酸化能と重粒子耐性に関する検討"平成11年度放射線医学総合研究所重粒子研究報告. 146-153 (2000)
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[Publications] Nakagawa H.et al: "Induction of Superoxide in Glioma cell line μ87 stimulated with lipopolysaccharide and interform gamma"FEBS Lett. 14. 187-190 (2000)
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[Publications] 坪井康次: "「陽子線治療」脳神経外科advanced practice 1"高倉公朋 編集 メジカルビュー社. 8(170) (2000)
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[Publications] 坪井康次: "「神経膠芽腫の重粒子線感受性」重粒子線治療の基礎と臨床"放射線医学総合研究所編,医療科学社. 7(200) (2000)