2001 Fiscal Year Annual Research Report
虚血脳におけるベータアミロイド蛋白とその前駆体の発現と役割
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12671350
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
梶田 泰一 名古屋大学, 医学部・附属病院, 講師 (70303617)
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Keywords | ベーターアミロイド蛋白 / 脳虚血 / アストロサイト / アミロイド前駆蛋白 |
Research Abstract |
ベーターアミロイド蛋白(βAP)はアルツハイマー病に共通して見られる老人斑の核をなす物質であり、同疾患の原因物質と考えられ盛んに研究されている。我々は、初年度において、脳虚血モデルを用いて、アミロイド前駆蛋白(APP)の発現分布を観察し、その機能について考察した。ウイスターラットの右中大脳動脈を一時遮断する一過性脳虚血モデルを作成した。血管閉塞時間を15分、30分、120分の3群として、虚血3日後の組織標本にて生じた梗塞巣の分布とAPPの発現分布を免疫組織学的に評価した。次年度は、ベーターアミロイド蛋白(βAP)の免疫染色及びその発現を知るために、Congo red染色を追加し、脳梗塞周囲にみられるアストロサイト内の反応について実験をおこなった。APP及びβAPの発現分布を虚血後、3、7、14、30、60日と比較的長期にわたり観察した。すべての例において血管閉塞時間は120分の1群のみとした。APPは30日後をピークとして中大脳動脈閉塞後3日〜60日の間に梗塞周囲の反応性アストロサイト内に観察された。一方、βAPは、30日後がピークであったが、3日後、60日後では観察されなかった。Congo red染色はいずれの時期においても観察されなかった。以上より、脳虚血により脳梗塞周囲の反応性アストロサイト内に虚血後3日よりAPPが観察される。この一部はβAPへと変換されると考察された。βAPは7日後より観察されはじめるが、しかし、老人班にみられるような蓄積にはつながらず30日後をピークとして消失する。脳梗塞周囲に出現する反応性アストロサイトがβAPの発現、除去のメカニズムに関わっている可能性が示唆された。
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[Publications] Nihashi T, Inao S, Kajita Y, Kawai T, Niwa M, Kabeya R, hayashi S, Yoshida J: "Expression and distribution of beta amyloid precursor protein and beta amyloid peptide in reactive astrocytes after transient middle cerebral artery occlusion"Acta Neurochir(Wien). 3. 287-295 (2001)