2001 Fiscal Year Annual Research Report
神経線維腫症2型遺伝子産物(Merlin)の細胞内腫瘍抑制シグナル伝達機構の解明
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12671369
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Research Institution | Kumamoto University School of Medicine |
Principal Investigator |
荒木 令江 熊本大学, 医学部, 助手 (80253722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐谷 秀行 熊本大学, 医学部, 教授 (80264282)
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Keywords | NF2 / 神経線維腫瘍2型 / merlin / 腫瘍抑制遺伝子 / poly (ADP-ribose)polymerase (PARP) / Ku-antigen / DNA-PKs / CD44 |
Research Abstract |
神経線維腫症2型(NF2)は両側聴神経鞘腫、髄膜腫などの中枢神経系良性腫瘍を多発することを特徴とする遺伝疾患で、その予後は極めて悪い。我々は以前より、その原因遺伝子NF2の関わる脳内良性腫瘍形成機構を解明することを目的として、NF2遺伝子産物Merlinの細胞内機能を詳細に解析し、以下の事を明らかにしている。1)NF2患者における変異型merlinの多くは、N末端側(細胞膜裏打ち蛋白質群ERMfamilyとの相同部位)にdeletion型やmissence, nonsence型の変異部位を有する,2)NF2高変異部位において細胞内merlinが特異的にカルパインによるプロテオリシスを受けて失活する,3)NF2高変異部位はPARP、Ku85、Ku70その他の細胞内merlin結合蛋白質との結合部位でもあり、これらの結合蛋白質は変異merlinと結合しない。4)変異merlinは細胞内局在が角に集中する傾向にあり、正常merlinの細胞内シャトル(細胞質→核→細胞質→細胞膜)が機能していない。5)変異merlin発現細胞は細胞接着能を低下させている。以上のことから、正常merlinの細胞内機能として、結合蛋白質群を介した細胞内シグナル伝達機能、細胞内局在調節、及び細胞膜・骨格系蛋白質への関与が注目された。本年は、merlinがその結合蛋白質であるPARPやDNA-Pksとの複合体を形成し、scaffoldとして細胞内の局在とこれらのDNA修復酵素活性の制御に関わっていること、更に細胞障害性のストレスによるDNAダメージがこれらの機能を誘起する可能性を示した。これらの制御機構はDNA損傷修復、細胞周期、細胞死のシグナル制御に大きく関与していることが示唆され、merlinの核における役割が重要であると考えられたことから、更に転写制御因子としての可能性に注目した。様々なelementを用いたレポーターアッセイから、merlinと細胞膜直下で結合する細胞接着因子CD44の細胞内ドメイン(CD44ICD)との相互作用によって、特に種々のシグナル分子の転写のenhancer elementとして知られる12-O-tetradeacanoylphorbol 13-actetate-responsive element (TRE)が大きく応答することが判明した。細胞外刺激によって活性化した膜内在性メタロプロテアーゼによりCD44ICDは断片化され、優位に核移行してTREに作用するが、これにmerlinがコアクチベータとして働いている可能性がある。merlinによって誘導される分子群とこれらの作用機構、及び腫瘍抑制機能との関連性に関する詳細な解析が急務であると考える。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Tokuo, H., et al.: "Phosphorylation of neurofibromin by cAMP dependent protein kinase is regulated via a cellular association of NG, NG-dimethylarginine dimethylaminohydrolase"FEBS Letters. 494(1-2). 48-53 (2001)
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[Publications] Okamoto, I., et al.: "Proteolytic Release of CD44 Intracellular Domain and Its Role in the CD44 Signaling Pathway"J. Cell. Biol. 155(5). 755-762 (2001)
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[Publications] 荒木令江: "プロテオームを利用した病態研究ー腫瘍ー"分子心血管病. 2(5). 577-587 (2001)
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[Publications] 荒木令江: "脳疾患の発現プロテオミクス解析, "細胞機能解析に向かうプロテオミクス""実験医学. 20(1). 13-22 (2002)
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[Publications] Araki, N., et al.: "Proteomic analysis of tumor suppressor related proteins in central nervous system"J. Chromatogr. B. (in press). (2002)
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[Publications] Araki, N., et al.: "New Development in Glycomedicine, Study of autoantibody against advanced glycation endproducts of the Maillard reaction"Elsevier Science B.V. 49-58 (2001)
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[Publications] Araki, T., et al.: "New Development in Glycomedicine, Analysis of carboxymethyl-lysine in AGE-protein of the Maillard reaction"Elsevier Science B.V. 59-64 (2001)