2000 Fiscal Year Annual Research Report
VHL腫瘍抑制遺伝子の神経分化・再生における機能の解明
Project/Area Number |
12671374
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
菅野 洋 横浜市立大学, 医学部, 講師 (40244496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長嶋 洋治 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (10217995)
服部 聡 横浜市立大学, 医学部, 助手 (40275037)
矢尾 正祐 横浜市立大学, 医学部, 講師 (00260787)
山本 勇夫 横浜市立大学, 医学部, 教授 (30158266)
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Keywords | VHL遺伝子 / von Hippel-Lindau病 / 神経幹細胞 / 神経分化 / 神経再生 / 神経芽細胞腫 |
Research Abstract |
中枢神経系血管芽腫、網膜血管腫、腎癌を発生する遺伝性の母斑症であるvon Hippel-Lindau(VHL)病の原因遺伝子で、腫瘍抑制遺伝子でもあるVHL遺伝子は、弧発性の腎癌、血管芽腫の原因遺伝子でもあることをこれまでわれわれのグループは明かにしてきた。更に、本邦の100以上のVHL病家系のリンパ球のVHL遺伝子の遺伝子変異を解析し、VHL病の遺伝子診断の有用性を確立してきた。VHL遺伝子は、これらの腫瘍発生に関わっているばかりでなく、中枢神経系の神経細胞に発現を認め、中枢神経の発生に関わっている可能性が示唆されていた。これに対して、研究代表者らは、ラットの神経幹細胞を受精12日目の胎児脳から得て、VHL遺伝子および蛋白の発現を、他の神経幹細胞、ニューロン、グリアのマーカー遺伝子の発現と共に経時的に解析し、VHL蛋白の発現が、神経分化に伴ってみられることを発見した。更に、VHL遺伝子を神経幹細胞へウイルスベクターにより導入すると急速に神経分化がおこることを突き止めただけでなく、その神経分化がVHL遺伝子のアンチセンスによって阻止されることを明らかにした(Canser Res 60:2820-2824,2000)。この結果を基に、VHL遺伝子をプラスミドベクターにて神経芽腫細胞へ導入し、VHL遺伝子が常時発現するstable cloneを作成すると、蛋白レベルでニューロンのマーカーの発現を認めただけでなく、神経分泌としての開口現象、電気生理学的にはパッチクランプ法にてカリウムチャネルとナトリウムチャネルがニューロンと同様に変化した。神経幹細胞移植は、パーキンソン病などの神経難病の治療に注目されているが、神経幹細胞をそのまま移植しても大部分はグリア細胞になってしまうが、VHL遺伝子を導入してから移植すると大部分は脳内でニューロンへ変化することが確認でき、多くのtyrosine hydroxylasc(TH)陽性細胞が認められた。これらの結果から、あらかじめ神経幹細胞にVHL、遺伝子を導入したのちに脳内へ移植することがパーキンソン病の治療などに有用である可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yoshida M,Ashida K,Kanno H, et al.: "Germline mutation analysis in patients with von Hippel-Lindau disease in Japan"Japanese Journal of Cancer Research. 91. 204-212 (2000)
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[Publications] 菅野洋: "血管芽腫"別冊 日本臨床 領域症候群シリーズ. 28. 169-172 (2000)
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[Publications] 菅野洋,山本勇夫,矢尾正祐,執印太郎: "von Hippel-Lindau病"別冊 日本臨床 領域症候群シリーズ. 28. 501-503 (2000)
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[Publications] Sato H,Hattori S,Kanno H, et al.: "In vivo gene gun-mediated DNA delivery into rodent brain tissue."Biochemical and Biophysical Research Communications. 270(1). 163-170 (2000)
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[Publications] Kanno H,Saljooque F,U H-S, et al: "Role of the von Hippel-Lindan tumor suppressor protein during neuronal differentiation"Cancer Research. 60. 2820-2824 (2000)
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[Publications] 菅野洋,村田英俊,後藤昌之 ほか: "神経幹細胞のVHL遺伝子による分化制御と細胞死"神経免疫研究. (発表予定). (2001)